生産管理
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財務報告に係る内部統制の重要な欠陥とその改善策
石島 隆
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2008 年 15 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

わが国では、2008年4.月以降に開始する事業年度から金融商品取引法に基づく内部統制報告制度が適用される。それに先立ち、東京証券取引所の適時開示制度に基づく改善報告書において内部統制の欠陥事例が数多く公表されている。
本稿では、これを分析し、内部統制の欠陥の改善策を抽出した。まず、全社的な内部統制については、(1) 経営者による財務報告の重要性の認識、(2) 業績評価制度の見直しと内部統制に対するモチベーション向上策の導入、(3) 認識された問題点に関するコミュニケーションの促進を、また、業務プロセスに係る内部統制については、(1) 潜在的な不正・誤謬の洗い出し、(2) データの連携の側面からの不正・誤謬の可能性の洗い出し、(3) 新たな会計基準の適用に関する体制整備を挙げた。
さらに、ITの機能の改善策については、(1) 自動化による人為的な操作の排除、(2) 不正・誤謬の防止のためのシステム間の連携の確保、(3) モニタリングのためのIT機能の改善、(4) 会計処理の高度化に伴うITの活用の必要性を挙げた。
そして、これらの改善策を実施していくためには、内部統制を有効に機能させるためのプロセスを作り出すための実行能力である「内部統制ケイパビリティ」の重要性を指摘した。

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