抄録
異常脳波が発生し, それが伝搬することによって意識の欠如や発作を引き起こす“てんかん”と呼ばれる慢性の脳疾患があるが, その発生部位を冷却することにより, 異常脳波が消え, 発作も治まることが知られている.著者らは, 動物実験を行い, 熱電素子を用いて脳表を冷却することにより, 異常脳波が抑制されることを示している.今後, 本手法を効率的に開発するためは, 冷却性能を推定できるような数値計算を行う必要がある.熱電素子によって大脳皮質を冷却した時の熱伝導現象を数値計算によって解析した.動物実験の結果と比較し, その妥当性を示した.