抄録
本研究では, 低速電子線回折法(LEED)を用いてイリジウム(Ir)(111)清浄表面及び一酸化窒素(NO)吸着表面の二つの試料について, スポット強度の温度依存性の解析と動力学的解析によってデバイ温度を評価した.LEEDスポット強度の温度依存性を用いた解析ではIr (111)清浄表面におけるデバイ温度は250~280K, NO吸着表面におけるデバイ温度は220~235K程度であることが分かった.また動力学的解析結果からはIr (111)清浄表面におけるデバイ温度は310K, バルクのデバイ温度が440 Kとなり, 表面ではバルクよりも低い値となることが分かった.表面でのデバイ温度が低いことは表面原子の振動振幅がバルク内部に比べて大きいことを示しており, さらに表面にNOが吸着することによりさらに増大すると考えられる.[本要旨はPDFには含まれない]