2010 年 62 巻 4 号 p. 327-330
本研究は,ひび割れ部の水分挙動を定量的に把握することを目的とし,ひび割れを導入した供試体を用いて吸水および水分逸散試験を行った.予備実験の結果,降雨と水中浸漬は概ね同様の吸水挙動を示したことから,水中浸漬による吸水試験を行った.その結果,本実験で設定したひび割れ幅の相違は吸水挙動にほとんど影響を及ぼさず,吸水開始後早期にひび割れ内部の含水率が90%程度まで満たされることがわかった.また逸散試験に関しても,含水率の相違が水分の逸散挙動に及ぼす影響はほとんど確認できず,ひび割れ内部の水分が完全に逸散するには,吸水に比べて相当の時間を要することを確認した.[本要旨はPDFには含まれない]