生産研究
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62 巻, 4 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
特集 持続可能な都市システムの構築をめざして(ICUS)
特集に際して
研究速報
  • ヘンリー マイケル, 加藤 佳孝
    2010 年 62 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    コンクリートは,社会を支えるインフラ施設の構築に欠かせない基本的な材料であるが,同時に環境への負荷が大きい.この環境負荷を減らすために,コンクリート産業は持続可能な事業活動を採用していく必要があるが,現状では持続可能な事業活動を評価する手法は定かでない.持続可能な事業活動を評価するために,どのような評価基準を採用すべきかを考察するために,コンクリートの性能指標や持続可能性指標など,様々な要因に焦点を置き,日本のコンクリート産業の持続可能性調査を行った.その結果,大多数の調査対象者は,日本のコンクリート産業は持続可能な事業活動を考慮するよう変革すべきであり,そのような変革は日本のコンクリート産業に良い影響をもたらすと考えていることが分かった.耐久性とコスト,特にライフサイクルコストが持続可能な事業活動を評価するのに最も重要であった.コンクリートの性能指標は持続可能性指標よりも全般的に重要であったが,事業環境,土地,消費と生産の様式も重要であることが分かった.持続可能な事業活動の障害もまた明らかとなり,大きな障害となったのは制度的な障害,専門知識の不足であった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • ヘンリー マイケル, 加藤 佳孝
    2010 年 62 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    日本のコンクリート産業におけるコンクリート材料の持続可能性の評価手法の検討のために,一連の社会学的調査・分析を実施した.持続可能性の評価は,複数の基準を有した意思決定の手法である階層分析法を使用して,指標の重みづけを行い,様々なコンクリート材料の持続可能性を比較した.その結果,普通骨材と再生骨材を併用したフライアッシュコンクリートが最も持続可能性の評価が高く,再生骨材を利用することによる強度低下は,再生材料の価値によってオフセットできるということが分かった.様々なコンクリート材料の持続可能性を評価することが可能な手法を提案した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • パルド へルマン, ヘンリー マイケル, 西村 次男, 加藤 佳孝
    2010 年 62 巻 4 号 p. 293-296
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    現在,様々な種類の副産物および廃棄物を有効利用したコンクリートは,CO2排出量およびバージン材料の消費を減少させることができる可能性があると共に,ある程度の力学的性能を保つことが可能であることが知られている.本論文では,水粉体比,骨材種類,フライアッシュの効果を把握するために,再生骨材やフライアッシュをバージン材料の代替材料として使用したコンクリートを複数ケース作成し,各々の強度,透気性,CO2排出量およびリサイクル材料の使用量について評価した.さらに,この実験結果に基づいて,単純梁の構造計算を行った.設計は,荷重,長さ,断面形状,強度,CO2排出量,コスト等の要因を考慮し,比較検討した.以上の結果から,廃棄物を多量に含んだグリーンコンクリートは,通常のコンクリートと比較して,力学的性能と,費用およびCO2排出量のバランスが良い時に,利用可能であることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 山下 大道, ヘンリー マイケル, 西村 次男, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2010 年 62 巻 4 号 p. 297-301
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究ではコンクリート分野における天然資源枯渇問題への対策として,大量の廃棄物を使用した.また,自動車の利用増加に伴った廃タイヤの増加への回答として,廃タイヤを細かく刻んだゴムチップを使用し,廃タイヤの新たなリサイクル先とすると共に,更なる天然資源の削減を行った.本研究では,主にゴムチップの混入量が廃棄物を多量に含んだコンクリートに及ぼす影響を実験的に検討した.結果として,ゴムチップを混入すると強度したが他の廃棄物による強度差が減少した事が確認された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • -連続繊維シートが受け持つせん断耐力に含浸接着樹脂が及ぼす影響-
    小嶋 洋範, 鈴木 将充, 西村 次男, 伊藤 正憲, 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2010 年 62 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    震災時,既往の復旧技術は頻発する余震に対応できない可能性が高い.このような背景の下,著者らは損傷したRC構造物に対し,水硬性樹脂が含浸された連続繊維シートを巻き立てた後,給水するだけで補強効果が得られる迅速復旧工法を開発している.本研究は,エポキシ樹脂および性質が異なる2種類の水硬性樹脂を用いて,樹脂の特性が補強効果に及ぼす影響について実験的に検討した結果,連続繊維シートに適用した場合,接着力は低いが,延性的な性質を効果的に発揮し,エポキシ樹脂と同等の補強効果を得られた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • -付着特性が補強後のせん断耐力に及ぼす影響-
    鈴木 将充, 小嶋 洋範, 西村 次男, 伊藤 正憲, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2010 年 62 巻 4 号 p. 307-310
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    被災したRC構造物を対象として,水硬性樹脂が含浸された連続繊維シートを用いた新しい迅速復旧工法を開発している.本稿では,水硬性ポリウレタン樹脂を含浸接着樹脂として用いた場合,何の物性値がせん断耐力に寄与しているか実験的に検討を行った.その結果,継手強度が最もせん断耐力に寄与しており,継手強度の保有すべき物性値の目安として引張強度と同程度であることを確認することが,せん断補強に用いる含浸接着樹脂選定の判断材料になり得ると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • -実構造物への展開可能性-
    鈴木 将充, 小島 文寛, 北沢 宏和, 伊藤 正憲, 牧 剛史, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2010 年 62 巻 4 号 p. 311-314
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,水硬性ポリウレタン樹脂を用いた迅速復旧工法の,実構造物への展開可能性について,柱試験体を用いて構造性能および施工性能の観点から検討した.その結果,せん断損傷を与えた柱部材に対して,従来工法を想定したエポキシと同様の補修効果が確認され,また,施工時間は従来工法よりも短縮可能であることが確認された.これらより,検討すべき事項は残されているが,実構造物への展開は可能であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 樺山 弘基, 水上 翔太, 早川 健司, 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2010 年 62 巻 4 号 p. 315-318
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,施工条件として部材寸法と養生に着目し,構造体コンクリートの圧縮強度および物質移動抵抗性の関係に及ぼす影響の定量化を目的とし,実験的検討を行った.部材寸法に関しては,部材模擬供試体を作成し,高さ方向の反発度,表面透気係数の変動を測定し,コンクリートのブリーディング量と高さ方向による影響程度を確認できた.また養生条件に関しては,算出した圧縮強度と透気係数の両者が影響を概ね反映する結果となった.一方で,塩化物イオン実効拡散係数は養生条件の影響に鈍感であったことから,非定常期間を求めたところ,養生条件による影響を反映する結果を示した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 早川 健司, 加藤 佳孝
    2010 年 62 巻 4 号 p. 319-322
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    RC構造物の耐久性において重要となるかぶりコンクリートの品質は,打込み,締固め,養生等の影響を大きく受ける.かぶりコンクリートの品質を実構造物で直接検査できれば耐久性確保に有効であるが,このためには施工に起因する品質変動を把握しておく必要がある.本研究では,大型供試体を対象に,実構造物で試験可能な表面透気性試験,および採取コアによる空隙率の測定等を行った.この結果,標準的な施工方法で打設した部材内の品質変動を示すとともに,過剰な締固めによる耐久性指標の変動は,材料分離抵抗性の小さい配合で大きくなることなどを示した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 村上 拡, ナナヤッカラ オミンダ, 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2010 年 62 巻 4 号 p. 323-326
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    マクロセル腐食の腐食速度はアノード部(Aa)とカソード部(Ac)の表面積比(Ac/Aa)によって支配されるとされているが,実際の腐食速度との関係は明らかにされていない.そこで,カソード領域がマクロセル腐食の進行速度に及ぼす影響を検討した.その結果,カソード部の増加に伴い,カソード要素間の影響により,マクロセル腐食電流密度は低下するが,その比率は配合や塩分濃度などの試験体条件に依存しないことを確認した.さらに,分極曲線を測定し,マクロセル電流と密接な関係がある抵抗値が存在することを確認した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 齊藤 宗一郎, 水上 翔太, 西村 次男, 加藤 佳孝, 勝木 太
    2010 年 62 巻 4 号 p. 327-330
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,ひび割れ部の水分挙動を定量的に把握することを目的とし,ひび割れを導入した供試体を用いて吸水および水分逸散試験を行った.予備実験の結果,降雨と水中浸漬は概ね同様の吸水挙動を示したことから,水中浸漬による吸水試験を行った.その結果,本実験で設定したひび割れ幅の相違は吸水挙動にほとんど影響を及ぼさず,吸水開始後早期にひび割れ内部の含水率が90%程度まで満たされることがわかった.また逸散試験に関しても,含水率の相違が水分の逸散挙動に及ぼす影響はほとんど確認できず,ひび割れ内部の水分が完全に逸散するには,吸水に比べて相当の時間を要することを確認した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 横田 弘, 古谷 宏一
    2010 年 62 巻 4 号 p. 331-334
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,実桟橋床版からコンクリートコアを多数採取し,塩化物イオン量のばらつきを定量化した.またその測定データを用いて,各コアから得られたデータがコンクリート構造物の鉄筋腐食寿命予測に与える影響を調べた.その結果,コアから得られる表面塩化物イオンと塩化物イオンの見かけの拡散係数は,全測定データの5割程度しか標準偏差の範囲内に分布しないような大きなばらつきを示すことを示した.また,これらを受けて,推定値の誤差を小さくするためのコアの採取数について考察を加えた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 加藤 絵万, 川端 雄一郎, 岩波 光保, 横田 弘
    2010 年 62 巻 4 号 p. 335-337
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    効率的かつ効果的な社会基盤施設の維持管理の実現には,実構造物の保有性能評価手法の確立が不可欠である.本研究では,桟橋上部工から切り出したRC部材の曲げ載荷試験データを用いて,桟橋上部工全体の部材の耐荷性を確率的に推定することを試みた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 桑野 玲子, 海老塚 裕明
    2010 年 62 巻 4 号 p. 339-342
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    地中構造物に作用する土圧は,構造物と地盤との相互作用の影響を受けるため,高盛土内のカルバートなど周辺地盤の沈下が予想される場合は,埋設構造物の規模,土かぶり,基礎の支持条件等に応じて鉛直作用土圧の増分を見込む必要があることはよく知られている.例えば,道路土工・カルバート工指針(1999)では,過去の限られた実績等の経験値を根拠として,土被り圧の1.0~1.6倍程度の鉛直土圧増分の目安を示している.しかしながら,これには沈下の度合や盛土材料の特性などは考慮されていないため,近年の多様な盛土・埋設形態に即した合理的な設計がされているとはいい難い場合も多いと考えられる.本研究では,任意の分割底版を昇降できる移動床土槽を製作し,移動・固定床への作用土圧分布を詳細に計測すると共に,その簡易算定手法を提案した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 佐藤 真理, 桑野 玲子
    2010 年 62 巻 4 号 p. 343-346
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    近年,埋設構造物の上部や周辺の陥没事例が報告されている.構造物と地盤の接触面において地下水位の変化や降雨により水みちが形成され,それに沿って周辺の土砂が徐々に流出することでゆるみや空洞が発生し,浅層部に進展して地盤陥没を引き起こすというプロセスが推測されるが,その詳細については未だ明らかとなっていない.本研究では,地盤と構造物の接触面に着目し,接触面を模擬した円筒を透水試験モールド内に設置して透水試験を行うことで円筒の材質や地盤条件が透水性にどのような影響をもたらすかを調べた.その結果,境界面において特定の条件下で透水性が上昇し,水みち形成を助長していることが示唆された.透水特性の変化は,躯体の表面特性や,地盤材料の粒度や密度に影響を受けており,ゆるみが生じて透水性が上昇しているのは躯体近傍のごくわずかな範囲であると推測された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 細尾 誠, 桑野 玲子
    2010 年 62 巻 4 号 p. 347-351
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    環境への負荷の少ない地盤固化技術として,微生物の保持するウレアーゼによる尿素分解効果を用いた地盤固化が試みられている.本研究では,豊浦砂が充填されたシリンジにBacillus Pasteuriiおよび栄養塩を注入することで,その固化効果を確認するとともに,栄養塩等の効率的な配合,注入頻度等を検討するための基礎実験を行った.
    固化の程度を供試体への貫入抵抗によって調べ,カルシウムイオンの消費量,炭酸カルシウムの析出量について測定したところ,3日間の養生期間内に,栄養塩濃度に応じた固化が発現し,固化部分の土粒子表面には多量のカルシウム鉱物が析出していることがSEM-EDSにて確認された.また,カルシウム源および栄養塩の添加総量が同一の場合,分割して注入する方が効率的に固化を図れることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高 東熙, 桑野 玲子
    2010 年 62 巻 4 号 p. 353-357
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    高度成長期に建設された膨大なインフラ施設のストックが,都市が成熟するにつれて更新期を迎えその効率的な維持管理の必要性が高まっている中,下水管等の地中埋設管で,路面を掘削することなく管路内側からライニングを施して延命・改築する非開削更新手法の適用が増加している.非開削更新によるライニングの設計には外水圧によるbucklingに対する設計が一般的に使用されていたが,状況によって土圧や交通荷重などが支配的な場合もある.特に下水管が埋設される比較的浅い埋設ではその影響が重要と考えられる.
    本研究では,繰返し載荷時の二層構造管のライニングの挙動を調べるために,大型土槽と応力制御の載荷装置を用いて異なる密度の埋設地盤と多数の既設管の劣化モデルに繰返し載荷試験を行い,ライニングの変形と作用応力特性について検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高石 孟, 沼田 宗純, 高島 正典, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 359-362
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    2004年スマトラ沖地震津波以降,インド洋における津波警報システムの構築が国際的な協力の下で進められた.しかし,現在,インド洋への適用が進められている太平洋津波警報システムでは,高価で技術的にも扱うのが難しく,維持管理の持続可能性には大きな不安がある.そこで本研究は,安価で維持管理しやすく日常的に利用可能なシステムとして「多目的ブイを用いた津波警報システム」を提案し,安価な観測ブイの実現のため,2008年に神奈川県平塚沖にて観測ブイを浮かべ実験を行った.実験より,音響測深機による波高観測機能の有効性が示唆され,また,漁業関係者による観測ブイの設置と回収の実現可能性を検証できた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高石 孟, 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 363-366
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    2010年2月27日,現地時間3時34分,南米チリ沖に発生した地震(Mw8.8)により津波が発生し,チリをはじめとして世界各国で被害が発生した.わが国もこの津波に対し,大津波警報を出し警戒したが,その背景には,1960年チリ沖地震(Mw9.5)による津波が各地を襲い,大きな被害を被った過去の教訓がある.本報告では,神奈川県平塚沖の神奈川県波浪等観測塔(旧防災科学技術研究所波浪等観測塔)により観測された.2010年チリ地震による津波観測データの分析を行い,津波波形とスペクトル分析から波高約40cmの津波が2月28日15時頃に平塚沖に到達したことが確認できた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 井原 毅, 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 367-370
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    近年,大きな地震により列車の脱線,高架橋の損壊,軌道変状,盛土の崩壊などの被害が報告されている.幸い鉄道利用者に被害は出ていないが,ダイヤが混み合う時間帯に大地震が発生した場合,鉄道利用者に甚大な被害が出る可能性がある.本研究では,通勤ラッシュ時に走行する列車に衝撃が加わった状況を想定し,楕円形個別要素法による群衆行動解析モデルを用いて満員電車内の乗客の挙動を追跡し,人体に作用する力を考察した.解析の結果,車両が傾くことで乗客に大きな被害が出る可能性があることが示された.また,つり革を増設することで車両の傾きが20度の場合には乗客に作用する力を軽減できることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • -東京都葛飾区新小岩北地区での試行-
    加藤 孝明, 石川 金治
    2010 年 62 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    日本の大都市域には,大規模水害が発生した場合,近隣に安全な避難空間を確保することができない,市街地が広範囲にひろがる海抜ゼロメートル地帯(「広域ゼロメートル市街地」)が存在する.今後の気候変動の影響により,確実に増加することが予測されている.河川整備による治水対策だけではなく,都市計画的,或いは,建築物側での対応が重要となるであろう.筆者らは,2006年より東京都葛飾区において住民との協働型ワークショップによりリスク軽減のための短期的,長期的対策を検討する実践的な取り組みを進めている.本稿では,この一連の活動を通して得られた知見を整理する.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 加藤 孝明, 小林 三昭, 佐藤 尚秀, 四柳 照義
    2010 年 62 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    災害対応及び復旧の任を負う指定公共機関が円滑な防災業務を実現するためには,被災の実情報,防災計画に関わる情報,他組織の活動状況の把握が不可欠である.法律上,自治体の災害対策本部で情報共有を図ることとになっているものの,本部の情報収集・分析能力の限界により,各組織が独自に収集・分析しているのが実態である.各組織が必要とする情報を共有するしくみがあれば,迅速かつ効果的な防災業務を実現することができる.本速報では,この問題に対応するしくみとして開発中の「防災情報マッシュアップシステム」について報告する.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 塩崎 由人, 加藤 孝明, 中村 仁, 小出 治
    2010 年 62 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    気候変動の影響により,今後,大規模水害の発生確率が高まることが予想されている.短期的には洪水ハザードマップを活用した水害発生時の避難の円滑化も重要であるが,気候変動の影響が顕著となる将来を見据え,中~長期的に水害に強い市街地を構築することも必要である.洪水ハザードマップに示されているような大規模水害に備えた浸水対策のあり方を検討するため,本調査では,現在,自治体が規制・誘導によって既成市街地で実施している浸水対策の事例を取り上げ,実態調査を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 沼田 宗純, 廣田 るり子, 齋藤 勝久, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 387-391
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    地域住民による「自分たちのまちは自分たちで守ろう」とする機運が高まり,さまざまな防犯活動が全国で展開されている.しかし,各団体の活動は地域で中心となる個人に支えられていることが多く,高齢化等の問題も相まって,人材確保や継続性に課題がある.
    そこで本研究は,各地域や団体の防犯活動をトータルで支援し,地域全体の活動状況が見える仕組みを構築するために,防犯特性分析システムを開発した.本論文では,犯罪発生状況の分析から日々の活動に至るまで,各プロセスにおけるシステムの機能を紹介する.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 齋藤 勝久, 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 393-397
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    防犯活動は対象地域の特性と過去の犯罪情報の分析に基づいて実施することが大切である.本研究では,地域の犯罪状況をリアルタイムに収集・蓄積し,迅速に分析するシステムを構築した.具体的には,安全・安心メールをデータソースとして,地域のリーダーが地域活動の分析や評価ができるシステムを構築し,これを警察統計と比較した.その結果,提案システムがボランティアの効果的な防犯活動に貢献できる可能性は高いが,窃盗犯虐待に関しては安全・安心メールだけでは不十分で,警察統計の情報が重要であることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 大原 美保, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 399-402
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    近い将来,わが国では大地震の発生が懸念されている.地震発生時に,災害拠点病院ではまず,院内の物的・人的被害を確認して病院全体の診療機能を把握した上で,院外からの患者受け入れのための準備や職員の再配置を行う必要がある.本研究では,地震直後に病院内の物的・人的被害情報を迅速に収集するためのシステムの開発を行い,病院の防災訓練での試験運用を行った.防災訓練当日は,おおむね30分で病院全体の被害情報を収集することができ,本システムは院内被害の迅速な把握に役立つことが示唆された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 藤生 慎, 大原 美保, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 403-407
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    近い将来,我が国では首都直下型地震,東海地震,南海地震,東南海地震などの大規模な地震の発生が予想されている.地震により被害を受けた居住者の生活再建には建物被害認定を経て発行される罹災証明書が用いられている.大地震の際には,これらの被害認定および罹災証明書の発行作業に膨大な手間がかかることが予想されるため,事前の人材育成と体制整備が急務である.本研究では,このような問題意識に基づき,e-learning環境を用いて事前に遠隔地において建物被害認定トレーニングを行うシステムの提案とシステムの仕様の検討を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 川崎 昭如, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 409-416
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    ウェブマッピング技術の急速な発展により,災害対応支援のあり方が変わりつつある.従来の地理空間情報を使った災害対応は,政府・自治体や災害救援機関の専門家集団による中央集権的な対応が主流であった.しかし,2010年1月のハイチ地震では,従来型の災害対応に加えて,ネットワーク型の災害対応コミュニティによる,より動的でオープンな災害対応支援が展開された.本稿では,ハイチ地震の対応活動を分析することで,近年の地理空間情報技術の発展が,災害対応活動支援にどのような影響を与えているかを概括する.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 近藤 伸也, 照本 清峰, 太田 和良, 片家 康裕, 高尾 秀樹, 河田 惠昭
    2010 年 62 巻 4 号 p. 417-419
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    2004年新潟県中越地震では,土砂災害による道路閉塞,通信伝送路の障害等により61カ所にも及ぶ孤立集落が発生し,集落住民の集団避難等の対応が行われた.今後30年間での発生が想定されている東南海・南海地震では,大量の孤立集落が広域にわたって発生することが予想される.本研究では,道路閉塞とその復旧日数に着目して広域災害時における集落の孤立危険度の評価を行う.そして孤立危険度と集落の直接被害を踏まえた集落の支援プログラムの検討と,各集落の支援プログラムを県単位で俯瞰できる孤立危険度マップの作成を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高野 佑, 目黒 公郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 421-423
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    観光地周辺で自然災害が発生すると,被害のなかった地域でも観光客数が減少することがある.本研究ではこのような現象を「観光手控え」と呼び,事例分析及び意識調査を行った.その結果,県外の観光客には安全・復興に関する記事はほとんど提供されておらず,安全状況を確認せずに「危険そう」との認識から観光手控え行動が発生しており,その傾向は男性よりも女性の方が強いことが分かった.また,観光客側は通常通りの観光活動が効果的な支援として求められていることをあまり認識していないことも明らかになった.その対策として,安全性の明確な提示や,支援としての観光活動の重要性の周知について具体的な方法を構築する必要性を提案した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 牧之段 浩平, 大原 美保, 目黒 公郎, 須見 徹太郎
    2010 年 62 巻 4 号 p. 425-429
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    近年,海抜ゼロメートル地域を含む江東デルタ地帯では,大規模水害の危険性が指摘され,内閣府によれば,その被害は最大で死者約3,500人,孤立者約72万人と甚大なものになる.
    そこで本研究では,江東デルタ地帯全域を対象として,水害・人口・建物のGISデータを用いて,大規模水害時の危険性に関する詳細な分析を行い,その分析結果をもとに,住民にとっての最適な避難方法を検討した.その結果,現在指定されている水害時避難場所のみでは要避難者を全て収容することは難しいが,既存の中高層建物を活用することで要避難者に対応できる可能性が示唆された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 田中 伸治, 片岡 源宗
    2010 年 62 巻 4 号 p. 431-434
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    土地に制約のある都市部の混雑緩和のためには,既存の道路空間を有効に活用することがきわめて重要である.本稿では高知市中心部を例に,右折車両や路上駐車車両により車線利用が不均衡になっている幹線道路において,道路空間を再配分し車線構成を実態に即して変更する対策を提案した.この対策について円滑性と安全性の観点から分析した結果,十分な混雑緩和効果を持ち,かつドライビングシミュレータでの運転実験でも特に危険な行動は見られないことが確かめられた.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 藤原 直生, 田中 伸治, 桑原 雅夫
    2010 年 62 巻 4 号 p. 435-438
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    歩行者の経路選択行動を分析する上で,経路選択肢集合をいかに生成するかはその後の選択に影響を与える重要な問題である.本研究ではこの選択肢集合を携帯電話からのGPSデータを用いて分析し,ネットワーク指標を用いて推定することを試みた.用いたGPSデータはログ取得間隔が1分程度と長いため,これを補うマップマッチング手法を開発した.そして迂回率やインテグレーション値といった指標を用いてリンク集合を推定した結果,これら指標値はネットワーク密度とは独立にある程度決まった値をとることが分かった.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 高達 暁子, 腰原 幹雄
    2010 年 62 巻 4 号 p. 439-443
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    法隆寺などにみられる日本で古くから,左官職人の経験に基づいて計画・施工されてきた伝統的な土構造物である版築塀を対象に,耐震性能の基礎データを収集した.版築塀の地震被害は,面外方向への崩壊,転倒が多く見られており,本研究では,版築塀の面外方向の耐震性能に着目し振動台実験,要素実験を通して耐震性能を明らかにした.版築塀の損傷は,土の引張強度から中間層での曲げ破壊,壁全体の転倒といった損傷モードを推定することが可能であることが明らかになり,その補強として竹や合成樹脂による引張補強の有効性を検証した.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 遠藤 貴宏, 沢田 治雄
    2010 年 62 巻 4 号 p. 445-448
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    森林域における,LiDARによるDEM作成精度を事前に評価する方法は,今まで存在しなかった.そこで,筆者らは,森林計測のためのLiDARシミュレーションシステムを開発した.本システムの特徴は,1)3DCGソフトウェア内に3次元の樹木を作成することにより枝打ち等の施業された樹木も扱うことができること,さらに,2)レーザ光線の波長における反射率に基づいて点群をシミュレーションしていることである.本システムを利用することにより,実測する前にDEMの作成精度を評価することができることが示された.[本要旨はPDFには含まれない]
  • 澤田 義人, 沢田 治雄
    2010 年 62 巻 4 号 p. 449-453
    発行日: 2010/07/01
    公開日: 2010/11/25
    ジャーナル フリー
    本研究ではメコン川流域全体を対象としてMODISデータを用い,著者が開発した記号列処理による離散的状態空間モデルを利用した異状検知法によって,森林開発地の抽出作業を行った.また,この手法が10日間毎の準リアルタイムでの森林開発地自動抽出にも応用可能となるようにパラメータを設定した.2005年~2007年の3年間108時期について森林開発地として抽出された地点について,雲の無い二時期以上の良好なASTER画像が取得できた164地点の中から21地点を選び出し森林開発地かどうか確認した.その結果,数km以上の大きさの森林開発地が抽出できることが明らかになった.[本要旨はPDFには含まれない]
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