2011 年 63 巻 2 号 p. 241-246
大型車・車室内における静粛性を向上させることは,快適性のみならず,音声認識や各種警報音の知覚を確実にするという安全性の観点からも重要である.本研究では,まず基礎的検討として,走行中の大型車・車室内における環境音に対するノイジネス等の聴感印象やラジオ聴取への心理的影響を調べるために実験室実験によって主観評価実験を行った.この実験のために,実際に速度や加速条件などの走行条件を変化させて大型車の助手席における音環境を録音し,音響実験室内に3次元的にシミュレートして実験を行い,物理量と心理的影響の対応を検討した.また,キャビン外部から運転席に透過して聞こえる警報音などの方向定位性についても,音場シミュレーション技術を適用して実験室実験によって検討した.