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須田 義大, 池内 克史, 桑原 雅夫, 田中 敏久, 中野 公彦, 橋本 秀紀, 牧野 浩志, 坂本 慎一, 鈴木 高宏, 田中 伸治
2011 年 63 巻 2 号 p.
119-124
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
ITSをはじめとする先進モビリティの研究では,分野融合や地域連携などの取り組みが重要である.東京大学生産技術研究所先進モビリティ研究センター(ITSセンター)では機械,情報通信,土木,交通,電気・電子,音響等の様々な分野の最先端の技術を融合し,人・インフラ・ビークルの協調,モーダルミックス,産学官民の連携に重点を置いたサスティナブルな交通システムの実現に向けた研究を推進している.本稿では「環境低負荷・低炭素社会」,「安心・安全」,「快適・健康」を目標に進めている先進モビリティの分野融合研究について,ドライビングシミュレータと交通シミュレーションを融合した複合現実感高越実験スペースと,実証実験フィールドを活用した研究事例を紹介する.
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田中 敏久
2011 年 63 巻 2 号 p.
125-132
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
21世紀型社会は,急激な高齢化・過疎化社会の進展,低炭素型社会の実現,環境配慮型・省エネルギー社会の構築,世界一安全な道路交通社会の実現等「モビリティ(移動)」と密接に関連している課題が多い.それらの解決の手段として,EVを中心とする次世代自動車に期待が大きいが,一方では,わが国の最大の産業で100年続いた垂直型産業構造の代表である自動車産業が,技術動向,グローバル化の中で水平型産業構造に変革し,基幹産業の根幹を揺るがしかねない.次世代自動車の発展を通して,自動車産業と社会・経済のパラダイムシフトを俯瞰する.
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牧野 浩志
2011 年 63 巻 2 号 p.
133-139
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
世界の最先端を走っている日本の路車協調システムであるが, ETCに使われている狭域通信(DSRC)方式でマルチアプリケーションを動かすことのできる機能を持ったITS車載器とITSスポットが登場し,新しいステージを迎えた.このITS車載器は,これまでのカーナビやVICS,ETCという基本機能に加え,広域のダイナミックルートガイダンスが可能となったり,世界で初めての安全運転情報提供機能が搭載されたり,インターネット接続の実現による地図更新やローカル観光ナビとしての活用,プローブ機能による情報収集機能,クレジットカード決済機能の追加など,これまでの公共サービスだけでなくロードサイドのガソリンスタンドやファーストフードなどの民間サービスにも活用できる様々な可能性を秘めている.新しいツールの誕生で日本のITSが社会の課題をどのように解決していくのか,民間サービスでの展開,電気自動車との関係,都市のスマートな発展など,路車協調システムのロードマップについて論じる.
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永塚 遼, 小野 晋太郎, 川崎 洋, 池内 克史, KWEON In So
2011 年 63 巻 2 号 p.
141-146
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
著者らはこれまで,実写画像ベースのIBRとポリゴンベースのMBRを組み合わせた,ドライビングシミュレータを開発してきた.本手法では,写実的な再現と,固有空間法による効率的な圧縮の両方を同時に実現することが可能である.さらに,著者らは今回,看板などの障害物を効率的に除去する手法と,カーブなどにおいて,これまで発生していた違和感を大幅に軽減する手法を実装した.これにより,データの製作過程のほとんどを自動化することに成功し,長区間でも短時間でデータの取得およびドライビングシミュレータでの利用ができるようになった.本システムでは,モデル化に要するコストを従来手法よりも大幅に下げることができた.
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永塚 遼, 小野 晋太郎, 川崎 洋, 池内 克史, KWEON In So
2011 年 63 巻 2 号 p.
147-152
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
著者らはこれまで,実写画像ベースのIBRとポリゴンベースのMBRを組み合わせたドライビングシミュレータシステムを開発してきた.このシステムの持つ現実感に対してユーザスタディを行うことにより,実写画像を用いることが現実感にどのような影響を与えるのかということを確かめる評価実験を行った.また,運転方法によって,ドライバーが感じる現実感,違和感に与える影響を調査した.それと共に,撮影経路からどの程度横にずれると,ドライバーが提示された見えに対して違和感を感じ始めるのかという限界点を探った.
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ミスカ マーク, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
153-158
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
In this paper we are introducing a nanoscopic traffic simulation model, that aims to support investigations on traffic phenomena, based on driving behavior, that are difficult to model in a higher level. Steering angle and throttle position are the main parameters to model driver behavior. To gather such information, the model has an integrated driving simulator that allows driving in a simulated 3D environment. Vehicle tracking from the driving simulator is used to update the parameters of the simulation, to achieve a realistic representation. In this study, we have used the model to investigate the congestion causing sag curve phenomenon.
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小出 勝亮, 田中 伸治, 白石 智良, 飯島 護久, 堀口 良太
2011 年 63 巻 2 号 p.
159-162
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
本研究は,日本全国を対象とした交通シミュレーションを開発するものである.全国規模のネットワークを対象としたシミュレーションの実行には,使用メモリ量や処理速度といった計算リソース面の障壁があるが,本研究ではグリッドコンピューティング技術を用いて,これらの課題を克服した.本論文では,対象エリア・OD表の分割,計算機間での車両情報授受等のシステム動作を説明し,分割エリアで完結するOD表を用いた方式について報告する.
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ウォルファマン アクセル, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
163-167
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
The coordination of signal programs at adjacent intersections is a multivariate optimization problem with many constraints. To assess the quality of optimization procedures, the impact of different performance measures, and the effect of the quality of the input data, a methodology has been developed to compare different offline optimization strategies using complete information of the traffic flow. The complete information is obtained by using a traffic flow simulation. To have a benchmark for a given optimization function, the best possible coordination for given conditions is computed using Particle Swarm Optimization (PSO). Different strategies can then be compared to this benchmark.
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田中 悠樹, 田中 伸治, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
169-172
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
本研究では,停止発進・右左折といった交差点部特有のドライバモデルの構築・実装を行う.また,実交差点付近から得られる交通データをもとに,一般道における車両発生モデルの再検証を行う.上記観測データから得られる実測値をもとに,ドライバモデルのパラメータ変動による影響評価を行い,パラメータ感度を明らかにするとともにキャリブレーションを行い,交差点モデルの妥当性について検証する.
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三浦 久, 洪 性俊, 割田 博, 田中 伸治, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
173-177
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
本研究では,首都高速道路における車両追突事故リスクの事前予測を通じて,追突事故の減少に寄与させることを主旨とし,追突事故の頻発する首都高速道路3号渋谷線上り・谷町JCT手前のサグ部を対象として,事故発生時の交通流の解析を行った.解析には車両感知器パルスデータを用い,サグ前後における個別車両の速度推移状況から,事故発生のメカニズムを仮定し,追突事故リスクの高いとされるミクロ的な交通流状態を導出した.また,そのようなリスクの高い交通流の出現状況について,分析を行った.
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江 天, ミスカ マーク, 田中 伸治, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
179-183
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
In this paper, we analyze highway detection system under different traffic scenarios. Traffic data collection depends on not only sensor technologies, but also where detectors are placed. Data validity highly varies on different traffic conditions and detection locations. To assess the detection efficiency, a generic data supply function is defined to describe detection system performance. In addition, speed data collection is selected as an example to determine a specific data supply function which depicts the relationship between speed detection variation and traffic state. The supply function is validated by a case study based on Tokyo Metropolitan Expressway.
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中野 寿男, 田中 伸治, 桑原 雅夫, 國井 康晴
2011 年 63 巻 2 号 p.
185-190
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
本研究では,生体情報処理機構における免疫ネットワーク機構を応用した自己組織化による車両間協調システムの有効性の検討を行う.具体的には,検証シナリオとして合流部のような錯綜区間を対象とし,ドライバモデルに基づくミクロ交通シミュレーション環境において,TTC(Time to Collision)及びPICUD(Possibility Index for Collision with Urgent Deceleration) を用いて車両個々の安全性評価を行う.また,交通流及び平均速度の向上といった円滑性の評価を行うことで,提案する協調システムの有効性を検討する.
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太田代 有紀子, 唐 克双, 桑原 雅夫
2011 年 63 巻 2 号 p.
191-195
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
他の先進国と比べて,我が国信号交差点の全赤時間は長めに設定されている.長い全赤時間は,利用者が信号を守る場合,より安全性を確保できるが,実際はこれを見越した強引な駆け込み侵入やフライング発進といった危険挙動を誘発する.そこで,信号切り替わり時の車両挙動の実態に見合った全赤時間を設定する必要がある.本研究では,交錯パターン,交差点の規模などによる全赤時間の設定が異なるアメリカ,日本の交差点における実測値データに基づいて,交差点内を交錯する車両のコンフリクトポイントの通過時間差を危険度指標として比較分析を行い,効率的な全赤時間設定に及ぼす影響について検討する.
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小野 晋太郎, 佐藤 啓宏, 阪野 貴彦, 玉木 真, 池内 克史
2011 年 63 巻 2 号 p.
197-202
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
首都高速道路大橋ジャンクションは 2010年 3月に供用を開始した,地下と高架橋をつなぐ 1周 400m,4層建て,楕円形 2重ループの非常に複雑な構造をした道路トンネルである.我々はこのトンネルにおいて,安全対策の検証など様々な用途のための基本情報となる精巧な三次元モデルを, GPSやジャイロセンサを用いることなく構築することに成功した.計測車両に積載したレーザスキャナにより,静止状態での形状計測と移動を繰り返し,各データを幾何学的に最適に繋ぎ合わせることで全体のモデルを構築する.手作業に要する時間は1方向あたり1日ほどであった.
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栗林 宏輔, 子安 大士, 前川 仁, 小野 晋太郎, 川崎 洋, 池内 克史
2011 年 63 巻 2 号 p.
203-208
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
都市モデリングをする際の車載カメラで撮影した映像には得たい都市の建造物や道路などの背景以外にも歩行者や街路樹などの前景物が映り込むことがよくある.これらはモデリングの際に障害になるなど,画像上から除去する必要がある.そこで本論文では,背景に遮蔽が起こっている車載カメラ映像から自動的に背景のみの映像を作成する手法を提案する.具体的には,建造物などの平面性を利用して背景をトラッキングする.次に,時空間画像解析によって背景色を推定し,遮蔽が起こっている領域にその色を上書きすることで前景物を画像上から除去する.複数の背景平面に対応するオフラインシステムと単一平面に対応するオンラインシステムの両方を実装し,それぞれの実験結果を示す.
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小野 晋太郎, 松久 亮太, 川崎 洋, 池内 克史
2011 年 63 巻 2 号 p.
209-215
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
車載カメラを用いた相対自車位置決定の一手法を提案する.ある走行区間の車載カメラ映像を「検索キー」として与えると,予め蓄積された車載カメラ映像から同じ区間に相当する映像を「検索結果」として返すものである.従来法では良い初期値を必要としたり,車両側方への変位や日照条件の変化に応じきれない等の問題があった.本手法では周辺の建物がGPS電波の障害となることを逆手に取り,建物列の見え方を時系列的に記述する「時空間特徴量」と連続DPマッチングを導入することで問題解決を試みた.実験では,日照条件が近い場合で2m,異なる場合で4m程の精度でGPSに頼ることなく位置を決定できた.
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ジャヤセカラ ペシャラ ゲハン, 佐々木 毅, 橋本 秀紀
2011 年 63 巻 2 号 p.
217-222
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
現在,自律移動システムの研究開発が様々な機関で行われているが,複雑で変化が予測不可能な環境下で動作させることは依然として困難である.複雑な環境下では自律移動システムの自己位置測定に計算的な負荷がかかり,ナビゲーションフェーズに遅れが生じてしまう.この問題を解決する為に,本論文では外部から位置情報を提供することで自律移動システムを支援するインテリジェントアシスタントを提唱する.提案手法では,レーザーレンジファインダとカメラによるセンサーユニットによって移動物体を検出し,パーティクルフィルタを用いてトラッキングを行う.計算された位置情報は自律移動システムに補助情報としてフィードバックされる.本論文では移動ロボットを用いた基礎実験により提案方法の有用性を示す.
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藤村 嘉一, 上條 俊介
2011 年 63 巻 2 号 p.
223-228
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
本稿では,駅構内における人物行動把握を目的として,オブジェクトの姿勢情報と位置情報(物理的な軌跡情報と意味的なロケーション)を組合せた行動把握フレームワークが構築されている.本フレームワークでは,時空間MRFモデルによるオブジェクトトラッキングの結果を利用することで,時系列的な人物行動の解釈が可能である.また,実際の駅構内における行動を模擬した映像による実験を行った結果,本提案フレームワークは駅構内で想定される異常行動の把握に成功しており,その有効性が示されている.
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柴山 悠毅, 藤村 嘉一, 上條 俊介
2011 年 63 巻 2 号 p.
229-234
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
近年,ますます増加する交通事故を未然に防ぐため車載カメラによる歩行者認識技術はその開発が急がれている.本稿は単一の技術での複数画角の車載モノクロカメラ画像上の歩行者認識技術について提案している.画像上の動き差分から前景を抽出し,時空間MRFを用いて追跡しHOG/Fisher判別器にかけ歩行者とそれ以外の物体を判別している.その後,歩行者領域の相対軌跡を算出した.実際に道路を走行して撮影したシーンに対し本手法を適用した結果,歩行者の検出率90%以上,非歩行者の誤検出率10%未満を達成し,実用面における有効性を示した.
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鹿野 洋, 横山 栄, 坂本 慎一, 笹岡 岳陽, 波頭 伸哉
2011 年 63 巻 2 号 p.
235-240
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
我々は,車室の快適な音環境設計のツールとして,時間領域有限差分法による波動数値解析の適用を進めてきた.既報では,境界面インピーダンスを用いて解析を行ったが,局所作用を仮定したことによる精度への影響が懸念された.そこで本研究では,新たに内部伝搬を考慮したモデルを構築し,車室内において大きな容積を占めるシートに対して適用した.1次元音場とシート単体モデルにより妥当性を検証し,車室全体についての解析で得られたインパルス応答を実測,従来の解析法とそれぞれ比較した.また,シートの表面材を変更した場合の,音場変化の追従性について検討を行い,新たなモデルの特徴を明らかにした.
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横山 栄, 矢野 博夫, 橘 秀樹
2011 年 63 巻 2 号 p.
241-246
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
大型車・車室内における静粛性を向上させることは,快適性のみならず,音声認識や各種警報音の知覚を確実にするという安全性の観点からも重要である.本研究では,まず基礎的検討として,走行中の大型車・車室内における環境音に対するノイジネス等の聴感印象やラジオ聴取への心理的影響を調べるために実験室実験によって主観評価実験を行った.この実験のために,実際に速度や加速条件などの走行条件を変化させて大型車の助手席における音環境を録音し,音響実験室内に3次元的にシミュレートして実験を行い,物理量と心理的影響の対応を検討した.また,キャビン外部から運転席に透過して聞こえる警報音などの方向定位性についても,音場シミュレーション技術を適用して実験室実験によって検討した.
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韓 亜由美, 小野 晋太郎, 佐々木 正人, 須田 義大, 池内 克史, 玉木 真, 大貫 正明, 小島 朋己, 錦戸 綾子
2011 年 63 巻 2 号 p.
247-252
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
我々は'06年度より, 首都高速道路において安全性と快適性の向上を目的にしたシークエンスデザインによる走行空間改善計画を進めている. その成果として'08, 2月と9月, 路面表示/オプティカルドットを本線埼玉大宮線美女木JCT付近上下勾配にて実施. その直後に速度抑制効果が確認されたことは'08のITSシンポ
1) で速報した通りである. '10年現在では運用開始後13ヶ月経過した時点でも持続的な速度抑制効果が確認
2) されている. オプティカルドットについて, '09, 2月ドライバーの視知覚や運転操作へ直接与える影響を検証する目的で仮想現実高速道路空間を再現したドライビングシミュレータによる被験者実験を行なった結果, ドットパタン配列間隔の設定に応じて走行時の速度感が変化し, 設計意図通り運転操作を制御できることが分かった.
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山口 大助, 市原 隆司, 熊野 史朗, 佐藤 洋一, 須田 義大, 李 曙光
2011 年 63 巻 2 号 p.
253-258
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
近年,ITS技術を利用したエコドライブに関する研究が幅広く行われている.その多くは車速や加減速など自車に関する情報のみを考慮しているが,実際には渋滞や信号機の現示など周囲の状況によって最適な運転操作は異なる.そのため,自車だけでなく,渋滞,信号現示,車間距離などの周囲状況も考慮する必要がある.筆者らはこれまでに自車状況と自車周囲状況の両方を考慮したエコドライブの達成レベルを定量的に評価する手法を提案しており,本研究では自車周囲状況として交通信号機の視認を考慮に入れた場合の提案手法の妥当性をドライビングシミュレータを用いた基礎実験を通じて検討する.
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鄭 仁成, 中野 公彦, 山邉 茂之, 李 昇勇, 安芸 雅彦, 須田 義大
2011 年 63 巻 2 号 p.
259-264
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
トラックの自動隊列走行に関する研究が進められ,省エネルギや速度向上による物流の高効率化が目指されている.その安全性と有用性を示すために,隊列走行試験が行われているが,より安全で容易に実験が行えるように,自動隊列走行をドライビングシミュレータ(DS)での再現を考えられる.本研究では,モーション型と定置型DSに対して,ドライバの筋電位と発汗率の生体信号により,模擬自動隊列走行中のドライバの臨場感を評価した.
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桑原 雅夫, 堀口 良太, 平井 洋, 田中 伸治, ミスカ マーク, 米沢 三津夫, 林 誠司, 金成 修一, 花房 比佐友, 小宮 粋史 ...
2011 年 63 巻 2 号 p.
265-270
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
ITS施策導入による自動車からのCO
2排出量の低減効果を適切に評価するには,交通流シミュレーション,CO
2排出量シミュレーション,およびデータベース等が要素技術となる.これまで各要素技術は個別に開発されており,全体システムとして評価ツールが満たすべき条件は明確ではない.本研究では,個別ツール開発とともに,ツール全体として満たすべき条件を明確化し,これを国際的に合意形成して,ITSの効果評価方法を確立することを目的とする.これは平成20年度から5年間のプロジェクトであり,本稿ではその中間経過の概要を報告する.
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田中 伸治, 須田 義大, 牧野 浩志, 平沢 隆之
2011 年 63 巻 2 号 p.
271-274
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
駐車は自動車の走行に伴って必ず発生する行為であり,走行時と同じくらいの重要性を持つべきものであるが,各種のITS走行支援システムと比較するとITSサービスが十分に実用化されているとはいえない状況にある.そこで,駐車場や駐車行動を高度化する「駐車場ITS」を推進することにより,自動車のみならず他交通機関も含めた包括的な交通システムの改善や,利用者の回遊による市街地活性化などの効果が期待できる.本稿では,新たなITS研究開発分野として駐車場ITSを提案し,その可能性について考察する.
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牧野 浩志, 田中 伸治, 平沢 隆之, 服部 有里子, 齋藤 卓, 青木 新二郎
2011 年 63 巻 2 号 p.
275-280
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
ETCのように車両のもつユニークなIDを活用することで複数の駐車場での割引サービスなどを提供する複数駐車場管理システムを開発した.このシステムを使うことで,車両の周遊を促したり,滞在時間を延ばしたりすることが可能となり,中心市街地の活性化や観光振興に資することができる.セカンドステージに入った日本の路車協調システム(スマートウェイ)の有力なアプリケーションとなりうる当該システムについて解説する.
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中元 達也, ミスカ マーク, 田中 伸治
2011 年 63 巻 2 号 p.
281-286
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
交通渋滞等で旅行時間の定時性が確保できない状況では,動的な交通情報提供が有効である可能性が高い.本研究では,常磐自動車道を東京都心方面に向かうトリップを対象に情報提供を用いたパーク&ライドの適用可能性を検討するために,まず当該地域の交通状況を明らかにした.次にドライバーに旅行時間情報とともにパーク&ライドに関する情報を提供した場合の行動変容に関するSP調査を行っている.さらに,パーク&ライドの利用によって生じる様々な効果について議論するため,ドライバーの生活行動のモデル化を検討する.
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須田 義大, 中野 公彦, 田中 伸治, 平沢 隆之, 牧野 浩志, 中川 智皓, 平山 遊喜
2011 年 63 巻 2 号 p.
287-292
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
環境と人にやさしい次世代型交通モードとして期待を集めているパーソナルモビリティ・ビークルの試作機開発状況と,三大都市圏への導入を想定したCO2削減効果試算ならびに高齢社会への順応性に関する基礎検討結果を報告する.
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須田 義大, 平沢 隆之, 山口 大助, 安芸 雅彦, 音羽 勇哉, 牧野 浩志, 中野 公彦, 表 久紀, 田中 輝幸, 関口 明浩
2011 年 63 巻 2 号 p.
293-298
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
ジェットコースタの技術を活用して,極短距離の輸送分担を期待する省エネ型の新たな都市交通システムの試作機を開発し,乗降実験に基づいて座席配置を提案・実装した.提案システムとITS技術を活用した多様な交通システムとの連携(モーダルミックス)取り組み構想についても言及する.
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滝口 清昭, 河野 賢司, 前田 一龍, 比嘉 良人, 神谷 稔
2011 年 63 巻 2 号 p.
299-304
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
二輪車において,準静電界における静電結合を利用し,人体を通信経路としたバックモニタシステムを実現した.人体と静電結合を行う送信端末の電極をサドル部,受信端末をハンドル部に設け,電極と人体,人体と車体との静電容量の関係,すなわち,人体と車体との静電結合に対し,人体と端末の電極との静電結合がより大きくなるような電極の形状および配置を考慮した構成とした.本システムは人体通信によって煩雑な配線を排除することが可能となることと,準静電界を利用したことにより,人体表皮と電極への非接触通信が可能という特徴がある.
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平沢 隆之, 牧野 浩志, 須田 義大, 坂井 康一, 森井 紀裕
2011 年 63 巻 2 号 p.
305-310
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
国内外のパークアンドライドサービスの導入現況分析に基づき,ITS車載器とDSRC路側機の配備を前提にITS実証実験モデル都市・柏で展開予定の,ドライビングシミュレータ実験を通じたきめ細かなコンテンツ設計に基づく,ニーズ指向型の新たなダイナミック・パークアンドライドサービスの検討構想について報告する.
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牧野 浩志, 鎌田 譲治, 鈴木 高宏, 浜田 誠也, 香野 雅之
2011 年 63 巻 2 号 p.
311-317
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
フリー
長崎エビッツ(EV&ITS)プロジェクトは,人口の減少や観光産業の停滞が著しい離島を中心に電気自動車(EV)を配備し,搭載されたITS車載器の案内により世界遺産登録を目指す島の観光地をクリーンに楽しく観光して回るという「次世代の未来型ドライブ観光」を実現しようというプロジェクトである.本論文では,日本の路車協調システム(スマートウェイ)のプラットフォームであるITS車載器とDSRC路側装置(ITSスポット)を活用し,電気自動車の活用に不可欠な急速充電器の案内やローカル観光ナビとして活用できる機能を実現するためのシステム開発について報告する.
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鈴木 高宏
2011 年 63 巻 2 号 p.
319-324
発行日: 2011/03/01
公開日: 2011/05/28
ジャーナル
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長崎県はEV・PHVタウンの一つとして,特に離島におけるEVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の実用化普及モデル構築を目指して「長崎EV&ITSプロジェクト」を進めている.本プロジェクトではまず五島列島を対象地域に,世界遺産候補の教会群をはじめとした観光資源を活用し,環境にやさしく島を巡る「未来型ドライブ観光」の実現を目指している.その第一段階として,ITS車載器を搭載したEV100台とPHV2台,急速充電器8箇所15基を導入している.導入したEV・PHVは主に観光用のレンタカーとして運用され,全国でも例を見ない高い頻度で利用されており,それにより多くの課題とその対応方法が明らかになってきている.本発表ではそのような実運用の状況について第一報を行う.
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