抄録
本研究は,「防災戦略立案システム」を構築し,行政等のステークホルダーが効果的な防災戦略を立案・実施するための意思決定を支援することを目指している.本稿では,その第一ステップとして,矢吹町を事例に,防災関連予算がどのように使われているのかを分析した.その結果,矢吹町のリスクマネジメントに関する事業は,人的・物的(財産)被害を抑止又は軽減することに貢献する部分もあるが,効果的な応急対応を実現するための事前準備により多くの予算が配分されていることが分かった.
一方で,予算配分の分析だけでは事業の効果を図ることは難しいことも指摘した.
本研究の目的を達成するためには,各事業(防災対策)に対し,投資対効果を評価するモデルを構築する必要がある.これにより,限られた予算や時間等のリソースから,最も効果の高い事業を選択することができ,最適な防災戦略を立案できる.