抄録
微生物機能を利用して炭酸カルシウムを析出させることで地盤を固化する手法は低コスト・低環境負荷の地盤改良技術の実現につながると期待されている.しかし,既存の研究は砂場に見られるようなきれいな砂を使用することが多く,実地盤への適用可能性についてはまだあまり確かめられていない.そこで本研究ではより現実的な実験材料として浦安市の液状化噴砂(細粒分含有率30%)などを使用し,微生物による固化実験を行うことでその実用可能性を評価することを試みた.コーン貫入試験結果から,浦安砂の強度増加はきれいな砂のそれと比べて非常に低いことが示された.しかし,炭酸カルシウム析出効率は砂資料の種類と関係なくほぼ100%であった.浦安砂中の細粒分が強度増加を妨げたものと考えられるが,さらなる研究によりその影響を明らかにする必要がある.