抄録
乱流ヘリシティを含んだReynolds 応力の代数モデルは円管内旋回流で良い予測結果を出すことが知られている.このモデルでは絶対渦度と乱流ヘリシティ勾配の積が渦粘性効果に対抗する重要な役割を果たしており,電磁流体力学における乱流磁気ダイナモとの類推から,回転系において非一様な乱流ヘリシティが平均流を生成することを示唆している.回転系における非一様な乱流ヘリシティの効果を調べるため,非一様な外力 によって乱流場が駆動される回転系のラージ・エディ・シミュレーション(LES)を行った.このシミュレーションにおいて,非一様な乱流ヘリシティが存在するときに回転軸方向の平均速度が誘起された.この現象は渦粘性効果のみでは説明できない.Reynolds 応力の輸送方程式においてこの現象に対する主要項を議論し,圧力拡散項をモデル化することで絶対渦度と乱流ヘリシティが対になって現れるReynolds 応力の代数モデルが再導出された.