2016 年 68 巻 2 号 p. 151-156
本研究は,確率的な需要の到着を考慮して,信号路線の総遅れ時間の期待値を計算する手法を示す.提案手法は交通流の変分理論(VT)に基づくものであるが,確率的な需要を考慮した場合,交通流ダイナミクスは確率的な最短経路探索問題の解として記述され,その厳密な求解は困難なものとなる.そこで,以下の二つを組み合わせた近似解法を提案する:(1) 最短経路が持つ特性による解集合(経路の候補数)の縮小;(2) Clark approximation の援用.モンテカルロ計算による期待値との比較実験の結果,提案解法は実験で用いたいずれの道路設定においても精度よく期待値を計算できることがわかった.