2016 年 68 巻 3 号 p. 213-217
RESP 電荷は分子の静電ポテンシャル(ESP)を再現する目的で提案され,現在広く分子力場や分子動力学計算に使われている.タンパク質RESP 電荷は計算サイズの問題により,アミノ酸残基毎にパラメータ化されたRESP 電荷を繋ぎ合わせたものを代用している.本研究は,タンパク質全体のカノニカル分子軌道計算に基づき,タンパク質本来のESP をよく再現する原子電荷計算法を開発し,原子電荷の高品位化を行った.定義に従ったRESP 電荷をはじめ,線形回帰法を原子電荷モデルに適用することで,ESP を高精度に再現する性質を保ちつつ様々な特徴を持つ,タンパク質の新たな原子電荷を作成することができた.