抄録
多細胞生物の発生過程や免疫システムにおいて,種々の細胞数の比や細胞総数は細胞間相互作用によって自発的に制御されているが,如何なる相互作用によって如何に制御可能かは完全には明らかではない.本研究では,細胞集団の数理モデルを構築し,細胞間相互作用と細胞集団の制御可能性の関係を解析した.細胞間相互作用のネットワーク構造とそれにより実現可能な細胞総数・比の定量的対応関係や,細胞集団が制御可能であるために細胞間相互作用に課される必要条件が明らかになった.この結果は未知の細胞間相互作用の探索に有効な指針となると期待される.