生産研究
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研究速報
大規模コンペティションデータを用いた戦後ピアノ教育の基礎的解析
本間 千尋本間 裕大
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2016 年 68 巻 4 号 p. 293-296

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抄録

明治期に日本に移入された西欧モダンのピアノ文化は,戦後はライフスタイルの都市化に伴い全国的に浸透した.日本では子どもに楽器の演奏技術を学ばせる際にはピアノを選ぶ場合が多く,我々は自国の伝統楽器よりも西欧の楽器であるピアノの方に親しみを感じる.また現在の日本では,ピアノの経験者や国際コンクールの参加者は本場西欧を凌ぐ程になり,日本におけるピアノ文化は成熟期を迎えていると言えるだろう.このように戦後日本の都市化と不可分の関係にあり,多くの人々が趣味やレッスンで経験するようになったピアノ文化であるが,日本においてピアノ文化に関する研究は多くはない.そこで,本研究では,高度経済成長期が終焉した1980 年代以降のピアノ文化の受容を,質的調査を用いて検討し,それを踏まえた上でコンペティションデータを用い数理的解析から明らかにする.こうした視点からピアノ文化を検討することは,ピアノ文化の分析に新たな知見をもたらしてくれることが期待でき,また高度経済成長期終焉以降の日本社会の特質を垣間見ることにもなるだろう.

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© 2016 東京大学生産技術研究所
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