生産研究
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研究速報
マイクロ流体in vitroがん浸潤モデルの構築
立川 冴子金田 祥平久米村 百子佐藤 竜偉藤井 輝夫鈴木 孝明藤田 博之
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2017 年 69 巻 3 号 p. 137-140

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抄録

本研究では,がん細胞の浸潤能の測定において,単一細胞だけでなく3 次元凝集体も評価できるマイクロ流体in vitro 浸潤モデルを開発した.細胞接着や細胞間相互作用が浸潤能に及ぼす影響を調べる狙いがある.デバイス上の2 本の主流路は10 個のオリフィス構造で接続されており,オリフィスは半円錐の3 次元テーパー形状を持つ.オリフィスは約80 μm 径の開口部から約10 μm 径の細孔に向かって滑らかな曲面で狭まっており,複数のがん細胞をお互いに接触した状態でパックするために用いる.デバイスは,3 次元リソグラフィで作ったSU-8 を鋳型とし,PDMS を二回転写することで製作した.

デバイス評価試験にはPC-3 細胞(前立腺がん細胞株)を用い,2 本の主流路間に与えた静水圧により,片側の主流路からオリフィス内に複数の細胞をパックできること確認した.さらに他方の主流路に浸潤促進因子を含む培地を導入することで,オリフィス内の細胞がラミニンコートした流路壁を伝い,細孔を通過し浸潤してゆく様子を観察できた.

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© 2017 東京大学生産技術研究所
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