2017 年 69 巻 6 号 p. 309-313
歴史的価値を有する建造環境は,暮らしを豊かにする文化資源となる.建築史の役割は,それら資源の発掘である.しかし都市域が広大なメガシティでは,従来の調査手法を適用できず,資源の発掘が十分になされていない.そこで本研究は,GIS などを活用した新たな手法によりメガシティから歴史的な建造環境を抽出する.具体的にはインドネシア・ジャカルタを事例に歴史的なカンポンの分布を解明した.居住環境全体のうち58%が歴史的なカンポンであり,住民の民族構成にも特異性が確認された.今後の課題として他のメガシティへの手法の応用が挙げられる.