抄録
生産技術研究所発祥の地に設置されていた千葉実験所では,今日に至るまで,実物大の試験体やプロトタイプを制作し,これらを用いた様々な実験や研究を通して技術開発を進めてきた歴史がある.西千葉から柏キャンパスへの機能移転を契機に,こうした機能をさらに進化させるべく,大型の研究・技術開発によるイノベーションを可能にする大実験スペースを包含する新しい研究棟をいわば現代の「中間工場」として構想し実現している.大実験スペースを実現するために,いくつかの研究建屋を用意し,それらをつなぐ大きな屋根を計画していた.大屋根の下には,搬送用の大型XYクレーン,振動台などのしつらえがほどこされており,大型の研究活動によるイノベーションをサポートしている.南北にずらりと並んだ研究建屋の隙間の空間や,大空間の中央に設けられた物見台としての空中ブリッジを含む周遊ルートからは,外来者が研究活動を一望することができる.