2023 年 75 巻 4 号 p. 301-304
本研究では,疑似等方性CFRP 積層板の衝撃損傷における超音波ラム波の散乱現象の,理論的な解析を試みた.まず,ミンドリン‐ライスナー板理論に基づく計算方法を等方性材から疑似等方性材へと拡張し,散乱波の振幅の方位分布を計算した.その結果は数値シミュレーション結果と一致しており,本理論計算の妥当性が確認できた.さらにその振幅は,ラム波の波長が損傷の半径と同程度の場合,共振により増大することがわかった.これは,散乱波に基づく疑似等方性CFRP 積層板の損傷検知法の確立に有用な知見と考えられる.