日本生態学会誌
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特集 中部山岳地域の高山植生と地球温暖化
南アルプス北岳のキタダケソウの生育に及ぼす地球温暖化の影響 (<特集>中部山岳地域の高山植生と地球温暖化)
名取 俊樹
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2008 年 58 巻 3 号 p. 183-189

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抄録

氷河期からの遺存種であるキタダケソウ(Callianthemum hondoense Nakai et Hara)は、北岳(南アルプス北部、山梨県)の南東斜面のみに生育する固有種であり、将来、地球温暖化の影響などにより、その存続が危惧されている。そこで、公表されている気象資料やキタダケソウに関する資料の整理、キタダケソウの満開日や生育場所の土壌pH、消雪時期の野外調査を行った.そして、富士山頂での年平均気温が20世紀後半から上昇していること、また、キタダケソウの満開日の経年変化や、キタダケソウの生育場所の土壌pHと消雪時期の特性を明らかにした。それらの結果をもとに、キタダケソウに及ぼす地球温暖化の影響について考えた。

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© 2008 一般社団法人 日本生態学会
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