2023 年 73 巻 1 号 p. 29-32
本稿では、2018 年に改訂された「生物基礎」および「生物」の学習指導要領に記された新視点を抽出し、授業における活用の仕方や課題についての私見を述べた。内容は生態学分野を中心に、広い視野からの提言も含んでいる。新たに追加、変更された注目すべき事柄として以下の5 点を挙げた。すなわち、1)自然環境の保全に寄与する態度を養う、2)見通しをもった観察や実験をおこなう、3)見出して理解する、4)重要用語の数を絞り込む、5)他教科との関連を配慮する、である。地球環境や社会の激動が予想されるなか、高校の生物で地球環境や生物多様性を考える機会を与えることの意義は大きい。生態学をどう教えるかの議論は、新たな段階に入ってきたと言える。