2011 年 52 巻 1 号 p. 49-56
超音波と紫外線(UV)照射の簡易な方法を用いて直接酸化チタンを綿布へ担持する方法を検討し,アナターゼ型と複合型の酸化チタンの担持方法と綿の消費性能や表面改質による風合いを評価した.超音波と同時にUVを照射した場合,超音波処理のみの照射と比較し綿布帛への酸化チタンの最大担持量が増加した.また,酸化チタン担持布を洗浄し酸化チタンの保持性能を調べると,アナターゼ型・複合型の酸化チタン担持布ともに安定に付着していた.さらに力学特性値の変化から,未処理布はUVの影響で表面が粗くなり,しゃり感が大きくふくらみのない布へ性能劣化する傾向がみられるのに対し,担持布はUVによる風合い劣化が少なかった.特に複合型担持布ではUV照射前後の差がほぼなかった.また,調製した酸化チタン担持布を用いてオレンジⅡ色素をモデルとして汚れ分解を試みた結果,UVの照射開始から24時間後にオレンジⅡの分解率は100%となった.