繊維製品消費科学
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性差と経年変化をふまえた大学生の衣服嗜好色に関する研究
河本 直樹
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キーワード: 衣服色, 色彩嗜好, 大学生
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 52 巻 7 号 p. 451-462

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抄録

若者の衣服嗜好色の特徴を明らかにするために,大学生275名(女子164名,男子111名)を対象として調査を行った.試料として,調査用カラーコード(日本色彩研究所)大分類に該当する25色を使用し,それらの各色を,基本嗜好色(いつでも着たいと思う色),潜在嗜好色(たまに着たくなる色),嫌悪色(絶対に着たくない色)の3カテゴリに分類させた.今回(2008-2009年)の調査結果から,衣服嗜好色における性差について検討するとともに,以前(2005-2006年)に女子学生のみを対象として実施された同様の調査の結果と比較することにより,衣服嗜好色における経年変化についても検討した.男子に比べ,女子は衣服嗜好色の数が多く,基本嗜好色ではベージュ,ブラウンおよびグレイ系の色において,潜在嗜好色ではピンク,イエロー,ラベンダーなどの色において,女子の嗜好率が有意に高いことが分かった.また,クラスタ分類の結果,女子にはピンク系嗜好の強い群が,男子にはブル一系嗜好の強い群が見出された.経年変化については,上記3年間で,潜在嗜好色の数が減少し,特に中間色相の多くの色で選択率が有意に減少していること,無彩色および基本色相の色は経年変化が小さく,嗜好率が安定していることなどが明らかとなった.

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© 2011 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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