本研究は,震災復興支援,貧困支援,環境保護などの倫理的消費商品の購買と消費者の心理的側面との関係性をつまびらかにすることにある.具体的なアプローチは,倫理的消費商品の購買状況と価値観や社会的規範との関連性について,性・世代・地域の違いを踏まえ,アンケートデータの分析を通じて明らかにするものである.分析には,大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所が2012年2月に,20代から60代の男女5000人に対して行ったアンケート調査データを用いた.分析の結果,倫理的消費商品の購入には,消費者個人の価値観とともに社会的規範が大きく影響すること,特に,高年者世代ほど倫理的消費に対する意識が強いことがわかった.従来のマーケティング戦略において見落としてきた「規範」という概念の重要性,および,今後の主なターゲット層となりうる女性の高年者世代が倫理的消費に大きく関連するという点を明らかにしたことが本研究の貢献である.