繊維製品消費科学
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固形墨ならびに市販墨液汚染布の洗浄評価
― ポリエステル,綿,ポリエステル綿混紡汚染布 ―
篠原 陽子
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キーワード: , 漂白剤, 分散剤, 界面活性剤
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 54 巻 2 号 p. 180-186

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抄録

衣類に付着した墨汚れは衣類の外観性能を害する.その除去は極めて困難であるため衣類の使用を断念する場合が多い.衣服の機能回復の目的と現代衣生活で課題とされている資源・環境への配慮の観点から,衣類に付着した墨汚れの除去を検討した.汚染布はポリエステル,綿,これらの混紡の白布を,固形墨と市販墨液を用いて作成した.汚染布の表面反射率は,全面汚染布の場合,固形墨で汚染した布の反射率が低かった.スポット汚染布の場合は,墨の種類による差はみられなかった.これらの汚染布を漂白剤,分散剤,界面活性剤を用いて洗浄した.墨ならびに繊維の種類,汚染方法の違いによる洗浄効率について有意差を検定した(ANOVA, p<0.05).いずれも洗浄性は低く,墨汚れの除去は困難であった.墨の種類では,固形墨で汚染した布の洗浄効率が有意に高かった(p<0.05).全面汚染布とスポット汚染布の洗浄効率は,繊維あるいは墨の種類によって異なった.NaClO は煤粒子の保護コロイドの作用を低下させ,分散剤と界面活性剤の作用で煤粒子を布から脱離させていのるものと考えられる.

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© 2013 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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