2019 年 60 巻 6 号 p. 479-485
繊維・アパレル産業の総合アパレル部門約200 社について,企業間取引ネットワーク(BtoB networks と同義)のデータを2005 年度から2010 年度までの6 年分取扱い,為替変動(USD/JPY)との回帰分析を試みた.特に,ネットワーク構造上のハブ企業の企業間取引ネットワークに着目した.その結果,ハブ企業である総合商社について,為替変動に起因する企業間取引ネットワークの変化が生じていた.為替とハブ企業である総合商社の次数中心性については,正の傾きを示す回帰式が得られた.この結果によって,円安傾向時に取引先数を増大させ,円高傾向時に取引先数を減少させるという,国際企業かつハブ企業としての典型的な総合商社の企業間取引ネットワークの変化の性質を定量的に示すことができた.