日射の放射熱の遮熱効果を謳ったレースカーテンが多く市販されているが,カーテンの遮熱性能に関する評価方法や評価基準は確立されておらず,検査機関や企業が独自の試験方法で評価を行っている.それらの評価方法には各々課題が挙げられるが,消費者が正確な情報を得るためには,全課題をクリアした,カーテンの遮熱性評価に関する統一した基準が必要である.そのため本研究では,レースカーテン素材の遮熱性能に関する評価方法を確立するための試験装置と評価方法を考案 した.試験装置の光源には日射波長エネルギーに近似した太陽光近似ランプを用い,レースカーテン素材を透過して到達する光源の熱量を,試験箱内の黒色銅板温度変化により測定した.考案した試験装置と評価方法の有効性について市販の30 種のレースカーテン素材を用いて検討した結果,本試験方法の高い精度と再現性が確認でき,信頼性の高い遮熱性能の評価方法であることが示された.
繊維・アパレル産業の総合アパレル部門約200 社について,企業間取引ネットワーク(BtoB networks と同義)のデータを2005 年度から2010 年度までの6 年分取扱い,為替変動(USD/JPY)との回帰分析を試みた.特に,ネットワーク構造上のハブ企業の企業間取引ネットワークに着目した.その結果,ハブ企業である総合商社について,為替変動に起因する企業間取引ネットワークの変化が生じていた.為替とハブ企業である総合商社の次数中心性については,正の傾きを示す回帰式が得られた.この結果によって,円安傾向時に取引先数を増大させ,円高傾向時に取引先数を減少させるという,国際企業かつハブ企業としての典型的な総合商社の企業間取引ネットワークの変化の性質を定量的に示すことができた.