2020 年 61 巻 2 号 p. 121-128
本研究では高齢女性11 人を被験者として,一般的な歩行能力テストを実施し,被験者の歩行能力と素足時の歩行動態との関係性を明らかにした.また,靴の機能を取り入れたつまずき予防靴下として,インソールとアッパー底部を想定した靴下を用いて歩行実験を行い,股関節・膝関節・足関節の角速度について,既報においてつまずきの指標として挙げられた特徴量ΔS を用いて検討を行った. 歩行能力テストの結果を主成分分析した結果,主成分1「歩行総合力」,主成分2「ふらつき」があげられ,股関節および膝関節の角速度のΔS は「歩行総合力」と関係し,足関節角速度のΔSは「ふらつき」と密接に関係していることがわかった.また,足底に沿った内側縦アーチをもつインソール機能と,足部側面を把持する機能を付与した靴下が各関節角速度を増加させ,つまずき予防に効果的であることがわかった.また,この効果は歩行能力が低く,つまずきやすい高齢者にとってより効果的であることがわかった.