洗浄における確率密度関数法とは,汚れの付着力を標準正規分布,洗浄力を標準偏差σrl,平均値µrl の正規分布で表現する手法である.本論文では,酸化鉄(Ⅲ)粒子,カーボンブラック,ヘモグロビン,油性染料の各汚染布と湿式人工汚染布を試料とし,各種市販洗剤とアルカリ剤の洗浄実験結果を確率密度関数法で解析した.まず5 分間×4 回の洗浄を5 種の洗剤類に対して行い,σrl とµrl を求めた.洗浄力比較のためσrl を固定して20 種の洗剤類µrl を求め,pH,界面活性剤濃度,表面張力等との相関性を求めた.結果,酸化鉄,カーボンブラック,油性染料は界面活性剤濃度と正の,表面張力と負の相関性を示し,ヘモグロビンと湿式人工汚染布はpH と正の相関を示した.また各洗剤類の洗浄特性を把握するのに有益なデータを得ることができた.よって,確率密度関数法は市販洗剤の洗浄性能の特徴を把握するのに役立つツールになり得ると考えられる.