繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
Print ISSN : 0037-2072
ISSN-L : 0037-2072
報文
漢服の変遷と温熱的快適性に関する研究
YANG SHIZHE木全 秀美佐藤 真理子
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 65 巻 1 号 p. 39-54

詳細
抄録

漢民族の伝統的服装である漢服の変遷の検討から,ヒトがいかに衣服を発展させてきたかを考究することを目的とした.漢服の衣服形態の変化と気候,生活様式を調査し,春秋戦国時代(G1),西漢時代(G2),唐代(G3)の衣服形態を選択,その再現を試みた.遺跡出土品,正倉院所蔵品調査によるパターンを用い,当時の身長から現代中国のA 体型における各部位寸法を算出,現代日本の9AR 体型に合わせて修正,再現試料を製作した.結果,漢服は十字型の構造は変わらないものの,技術の進歩,意識の変化で,布幅は広く,丈が短く,裾が広くなり,「礼」への厳しい要求から実用性,機能性重視へと変化してきたことが明らかになった.温熱的快適性について,サーマルマネキンによる計測値と各試料の重量算出値でclo 値の検討を行ったところ,各時代のアンサンブルの熱抵抗は0.87~1.57clo の範囲にあり,新しい時代のものほど,重量算出値よりマネキン計測値が大で,効率的に保温されている様子が示された.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top