繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
Print ISSN : 0037-2072
ISSN-L : 0037-2072
衣類上の細菌とその洗浄に関する研究
― (第1報) 細菌汚れの付着状態について―
皆川 基小沢 敦森 忠敬
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 13 巻 3 号 p. 103-110

詳細
抄録
衣類洗浄を細菌学的視点から検討することを目的として, まず衣類上の細菌の汚染状態とその細菌に対するドライクリーニングの除菌効果について検討を試みた.
その結果, 着用した衣類や, 洗浄後の衣類からも非常に多くの細菌が検出され, Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus aureus, Neisseria, Bacillus subtilis, Diphtheroid bacilli, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Alcaligenes faecalis, Klebsiella, Enterobacter aerogenes, Citrobacter, Bacterium anitratum, Candida albicansなどの13種の細菌が分離・同定された.洗浄後の衣類に付着している細菌数は, 一般に1cm2あたり103~107で著しく多く, 着用した衣類に付着している細菌による汚染度をそのまま反映する傾向があり, 羊毛, 絹などのたん白質系繊維の衣類では特に洗浄液中からの細菌の再付着が増す傾向が認められた.
衣類に付着している細菌の病因的意義については今後さらに検討されねばならないが, 少なくとも衣類に付着している細菌に対して積極的な除菌効果を示すような洗浄方法の確立が必要と思われる.
著者関連情報
© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top