衣類洗浄を細菌学的視点から検討することを目的として, まず衣類上の細菌の汚染状態とその細菌に対するドライクリーニングの除菌効果について検討を試みた.
その結果, 着用した衣類や, 洗浄後の衣類からも非常に多くの細菌が検出され, Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus aureus, Neisseria, Bacillus subtilis, Diphtheroid bacilli, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Alcaligenes faecalis, Klebsiella, Enterobacter aerogenes, Citrobacter, Bacterium anitratum, Candida albicansなどの13種の細菌が分離・同定された.洗浄後の衣類に付着している細菌数は, 一般に1cm
2あたり10
3~10
7で著しく多く, 着用した衣類に付着している細菌による汚染度をそのまま反映する傾向があり, 羊毛, 絹などのたん白質系繊維の衣類では特に洗浄液中からの細菌の再付着が増す傾向が認められた.
衣類に付着している細菌の病因的意義については今後さらに検討されねばならないが, 少なくとも衣類に付着している細菌に対して積極的な除菌効果を示すような洗浄方法の確立が必要と思われる.
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