繊維製品消費科学
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たん白質汚れの洗浄に関する研究 (第6報)
―ゼラチン汚染布の洗浄について―
皆川 基所 康子重田 美智子奥山 春彦
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1974 年 15 巻 1 号 p. 15-21

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抄録
ゼラチンによる汚染布を作製し, ゼラチン汚染布の酵素洗浄におけるプロテアーゼの基質特異性や, 洗浄条件などが洗浄効果におよぼす影響について研究を試みた.
その結果, アルカリ性微生物プロテアーゼおよび中性放線菌プロテアーゼなどの基質特異性の広いプロテアーゼを用いた場合にすぐれた洗浄効果を示すことが認められた.ゼラチン水溶液に対するプロテアーゼ作用についてみると, 酵素活性および作用時間を増すほどゼラチン水溶液の粘度低下が大きくなるが, 実際酵素洗浄で使用される0.5PU/ml前後の低単位のプロテアーゼでもゼラチン水溶液の粘度を著しく低下させ, ゼラチン分子をかなり低分子化することが認められた.プロテアーゼのpH特性はほとんどそのままゼラチン汚染布の洗浄効果にあらわれるが一般に洗浄液のpHがアルカリ性になるほどたん白質汚れは溶解除去しやすくなる傾向が認められるので, アルカリ性プロテアーゼのpH特性を同時に利用すればきわめて効果的である.プロテアーゼの温度特性はpHによって多少異なるが.中性プロテアーゼでは40~50℃, アルカリ性プロテアーゼでは50~65℃, 高温プロテアーゼでは65~80℃に最適温度を有し, それぞれ最適温度で洗浄効率が最高に達することが認められた.またプロテアーゼの作用温度および時間を増すと, ゼラチン水溶液の粘度低下が増大するので, アルカリ性プロテアーゼの温度特性を同時に利用するとさらに効果的であることが認められた.
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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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