抄録
我々は界面活性剤の生物安全性の評価にアプローチする一方法として, 界面活性剤液に真菌を移殖し, その生育状況を観察した.陰イオン系活性剤ABS, LAS, 陽イオン系, 両性イオンベタイン型に制菌効果が認められ何らかの特異物質が代謝機構を阻害し, 微生物の発育を阻止したものと考察した.非イオン系活性剤では著しい繁殖が認められたが, 胞子形成は全く認められなかった.菌叢除去液のpH, 表面張力の変動を測定した結果, 発育の旺盛なものでは分泌物の有機酸などの影響で酸サイドへの変動が大であった.水溶性色素産生する菌について菌の抽出液を測色した結果, ABS, LAS, 陽イオン系, 両性イオンベタイン型が, 色素産生に影響が認められた.