繊維製品消費科学
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縫製時におけるミシン針温度の非接触測定
尾上 正行
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1976 年 17 巻 6 号 p. 213-218

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抄録

近年, 縫製の合理化を図るためにミシンの高速化が進み, 工業用本縫ミシンで5, 000~6, 000rpmのものが市販されている.ところが, ミシン糸は絹や綿などの天然繊維からナイロンやポリエステルなどを素材とする合繊糸に品種転換されたものもあり, そのため糸切れなどのトラブルを生じ, 高性能なミシンの能力を十分に発揮できないでいる.そこで我々はこの糸切れの原因を針温度上昇との関係から考察しようと試みた.
その結果, ミシン回転数が高くなるに従い針温度はほぼ直線的に上昇し, 被縫体重ね枚数が多くなるに従い勾配は急になる.空縫いとミシン糸を使用したときとではミシン糸を使用することによる針温度の冷却効果が認められた.特にポリエステルスパン糸は針温度の上昇を抑制し, 可縫性も良好であった.また走査型電子顕微鏡写真を見ると, ミシン糸の切断原因は針温度上昇などによる糸の軟化と急速引張による相乗効果と言える.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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