1977 年 18 巻 1 号 p. 27-31
しわの回復速度およびしわ回復挙動を総合的に評価し, これに関与する基本力学特性を明らかにするために, 紳士用スーツ地86種を試料として第1報と同様の実験を行なった.
しわの回復挙動をあらわすパラメータとして, しわ回復度の増加分を時間で積分したしわ回復量を求め, 瞬間しわ回復をも考慮した総合しわ回復量についても, 同様の方法を採用した.
多変量残差回帰方式を用いて, しわ回復挙動に寄与する力学特性を明らかにした結果, しわ回復量には, せん断特性, 最大曲率, 曲げ緩和特性が寄与すること, 総合しわ回復量には, せん断特性, 曲げ緩和特性, 表面特性が大きく寄与することがわかった.
また, Sun-Ray Test法によるしわの異方性の測定は, 切り込みを入れた部分から, それぞれ90°の間においては有効ではないが, その他の部分においては1回の実験で各方向のしわ特性が捉えられることなどがわかった.