上衣の前身頃を想定して, 表地と接着芯の接着の際に生じる寸法変化と接着布の縫製, 着用段階での水分の吸脱湿に伴う寸法変化を捉え, 接着布の寸法変化挙動に及ぼす表地の繊維組成の影響, および接着芯基布の構造の影響を捉えることを目的とする.水分率の大きく異なる羊毛とポリエステル繊維でその混紡率を変えた表地と, 接着芯基布の構造の異なる接着芯を用いて, これらの接着による寸法変化挙動を測定し以下の結果を得た.
1.接着直後における接着布の収縮率は表地のポリエステル混紡率の増加に伴い小さくなり, その回復性も悪くなる.
2.表地の羊毛の混紡率が大きく, 水分の吸脱湿に伴う寸法変化の大きい場合, 寸法変化は接着芯基布の構造によって異なる.基布が編布, 不織布の接着布は表地の寸法変化挙動に比較的よく追随するのに対し, 織布接着芯接着布は追随性が悪く表地の寸法変化を拘束する.