繊維製品消費科学
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反応染料染色綿布の湿潤摩擦堅ろう度
―人工汗液の影響―
上甲 恭平森 寛城
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1981 年 22 巻 12 号 p. 516-520

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抄録

反応染料染色綿布の湿摩擦堅ろう度に対する人工汗液の影響を経時変化未処理および処理染色布を用いて2種類の摩擦方法で検討した.摩擦布を湿潤する従来の摩擦方法ではいずれの染色布においても人工汗液の影響は見られなかった.染色布を湿潤する摩擦方法では, 得られる堅ろう度は染色布の湿潤率に依存し, 湿潤率が0~50%の範囲では堅ろう度は低下するが, 50%以上では, わずかではあるが高くなつた.人工汗液の影響は経時変化処理染色布にのみ見られ, 人工汗液の堅ろう度が蒸留水より良くなる傾向が認められた.この傾向は40℃で4時間湿潤状態に放置した染色布の場合にも変化しなかった.このような人工汗液の影響は, 主に人工汗液に含まれる塩類が未固着染料の水への溶解移行を抑制するように作用するためであった.また, 人工汗液の作用の1つである加水分解促進作用は, この湿摩擦条件では働かないものと考えられた.

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