厚地綾織物のいわゆる斜行現象を布の力学的特性値により総合評価するため, 主成分分析・有限要素法を用いて検討した.
(1) 主成分分析の結果, 用いた13種類の力学的特性値はせん断特性・厚さ・圧縮仕事量・引張特性に関係する因子と引張・圧縮の回復特性に関係する因子に類別できる.
(2) 綾織物における弾性回復率と斜行現象は, 関連性がある.
(3) 布に対して線形弾性理論を適用し, 有限要素法により近似計算を実施した.その結果, 斜行現象を除重時の弾性率の異方性に基づいて解析する方法は, 変形挙動解明の上での定性的な評価法として妥当性はあるように思える.