繊維製品消費科学
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綿メリヤス製品の繰り返し着用, 洗濯による形態変化
柳 許子
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1984 年 25 巻 12 号 p. 631-634

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抄録

1.着用, 洗濯と繰り返し回数による収縮率の変化は, 丈, 幅方向で異なり, 両方向には関連した変化がみられる.丈方向の部位は着用, 洗濯により収縮し, 収縮率は10回前後まで増加しその後低下するが, f部位は異なる.幅方向は部位差が著しいが, 平均では着用により伸び洗濯により収縮し, 収縮率は5回前後から低下し, B, Cでは洗濯で回復せぬ伸びがしだいに累積する.身頃内部も着用, 洗濯により同様な変化を示すが, 収縮率は高く, 面積収縮率は2回までの増加が著しく, 20回以後の変化は3試料においてみられない.部位, 身頃内部, 丈, 幅方向における着用過程の変化が, 洗濯後の収縮率, 形態変化へ影響している.
2.33回後の形態変化値は, 身頃一周のウェール数との関係が明らかで, B, Cで大きい.B, Cはこのウェール数が少なく, 関連してBは幅が狭く, Cはウェール密度が低いが, これらが伸長回復率, さらに形態変化に影響していると考えられる.
3.厚さは洗濯, 着用により増減し, 4~6回で最も厚くその後低下するが, 62回後も使用前より厚く, 編目数も増加している.62回後の顕著な変化の位置では, B, Cの厚さは使用前以下, Cの編目数は使用前と同程度を示す.試料重量は, 乾燥過程で脱落した繊維 (25回までに試料重量の0.81%) を含み, 62回で6.5%減量する.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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