透湿性防水布はその外面と内面の水蒸気圧差によって優れた透湿性を発揮する.しかし, その布が外衣に用いられ氷点以下になった場合に, 吸湿性の低い保温材が重ね着に用いられていると外衣内面に霜が生成し易いことが実験的に確かめることが出来た.実験には人工気候室内に置かれたシミュレーターが用いられ, 水蒸気がポリエステル, アクリル, コットン, ダウン, ウールの5種の保温材を通過する速さが測定された.その結果, ポリエステルおよびアクリルは速やかに水蒸気を通すことが明らかにされた.また, その水蒸気が, 凍結した透湿性防水布のモデルとして用いられたポリエチレンフィルムの内面に達すると霜を作るが, ポリエステルやアクリルのような吸湿性の低い保温材が重ね着に用いられていると霜が付き易く, コットン, ダウン, ウールのような吸湿性の高い保温材が重ね着に用いられていると, 霜が付きにくい傾向が認められた.