繊維製品消費科学
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半衿と和服の着装イメージ
中谷 真三代鈴木 伸子
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1986 年 27 巻 9 号 p. 395-401

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抄録

衣生活における着装面での色彩は, イメージの変化に大きく関与している.和服着装法において最近では, 白い半衿をみせず肌色と和服の色が隣接するような扱い方がなされているのをみかけることがある.
今回は, 白い半衿の有無が和服着装のイメージにどのように影響しているかをみるため, 半衿ありの場合と半衿なしの場合を想定した試料を作成し, SD法による評定を行い検討した.その結果, つぎのような結論をえた.
和服着装のイメージは, さわやかさ, 目立ちおよび動きの因子で表され, これらの因子構造には半衿の有無が影響していた.半衿の存在によりPトーンでは, 肌色と和服の色との間のあいまいなイメージから画然としたイメージに変り, Vトーンでは肌色と和服の色との間の強すぎるイメージが緩和されるということが理論づけられた.また, 半衿の有無によりイメージ・プロフィールに違いがみられ, 和服着装のイメージに半衿が深く関与していた.さらに, さわやかさの項目においては, 半衿の有無が色相と色調の交互作用に大きく影響を与えていた.なお, 本資料では半衿がおよぼす和服着装のイメージに関して, 全体的な把握に焦点をしぼり報告し, 半衿の有無が和服着装の個々のイメージに与える影響および肌色のみえについての検討は次報にゆずる.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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