繊維製品消費科学
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身体に関する暗黙裡のパーソナリティ理論
神山 進牛田 聡子枡田 庸
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1988 年 29 巻 12 号 p. 540-548

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抄録
本研究では, 服装や外見に関する暗黙裡のパーソナリティ理論を究明する一環として, 身体特徴とパーソナリティ特性との間に, どのような関連性が仮定されているのかを検討することが, 目的であった.前報までの結果をふまえて, 本研究の結果は次のとおりであった.
1.身体特徴とパーソナリティ特性との間に仮定されている関連性は, かなり明白なものであった.2.パーソナリティから想起される身体特徴は, 4つの要因から構成され, それらは重みの大きな順に, 「太り」, 「均整」, 「大きさ」, 「丸み」であった.また, これらの4つの要因のなかで, 身体の魅力度の評価に貢献するのは, 「均整」の要因であると推察された.3.身体から想起されるパーソナリティ特性は, 3つの要因から構成され, それは重みの大きな順に, 「親和性」, 「積極性」, 「知性」であった.4.服装から想起される顕著なパーソナリティ特性が, 「思慮性」であった (第2報) のに対して, 身体から想起される顕著なパーソナリティ特性は, 「親和性」となった.したがって服装と身体とは, 少なくとも青年女子の間では, 相互に異なった性格特性と関連づけて捉えられていて, 容姿にもとづくパーソナリティの印象内容を, 一層複雑なものにしていると推察された.5.身体特徴の4つの要因と, パーソナリティ特性の3つの要因との間には, とくに次のような, 顕著な関連性が認められた.すなわち, 身体の太り―親和性 (特に, 心のひろさ) , 身体の均整―積極性・知性, 身体の大きさ―積極性, 身体の丸み―親和性, 身体の角ばり―積極性, である.6.数量化の方法第III類を適用することによって, 身体特徴とパーソナリティ特性との間に仮定された, 全体的な関連性の内容を知ることができた.またこれを, 服装や相貌に関する以前の研究結果と対照させることによって, 容姿に関する暗黙裡のパーソナリティ理論について, 一層合的な一資料を得ることができた.
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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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