繊維製品消費科学
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短期大学生の衣生活について
竹下 弓子辻 啓子林 豊子山田 令子
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1988 年 29 巻 8 号 p. 317-321

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抄録

短大生の衣生活の実践の程度および2年間の短大教育が実践にいかにかかわったかを調査した結果, 次のように要約することができる.
4-1実践の程度, すなわち「よくやる」の出現率の高い内容は, 購入, 着装, 手入れ, 保管で, 製作, 廃棄は低く, 日常生活でより身近かなものほどよく実践していた.また, 「よくやる」, 「時々やる」を合わせると, 廃棄以外は70%以上の者が実践していた.
4-2専攻, 家族構成, 家庭の職業, 母親の就労別と実践度の関係については, 実践度の出現率に10%以上の差がみられた項目は, 専攻, 家族構成に出現した.特に製作の「簡単な洋服の製作」は, 専攻別の差が大きく, 短大での学習とのかかわりが大きい.
4-3実践している者の実践の程度を資料に因子分析を行った結果, 4因子を抽出することができた.第I因子を「購入・着装実践型」, 第II因子を「製作実践型」, 第III因子を「廃棄実践型」, 第IV因子を「手入れ実践型」と分類した.
4-4短大での学習は, よく実践している者ほど有効であるという傾向にあった.
4-5以上の結果から, 学校教育が日常生活での実践に結実するためには, 被服学の内容を購入から廃棄にいたる生活のプロセスの中で, より生活に密着させた形で扱い, 被服学の各分野が相互に, 有機的にかかわりあうカリキュラムを構成する必要があると考える.
最後に, 本調査にご協力いただきました学生諸姉に感謝します.

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