繊維製品消費科学
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上肢帯部の動きと衣服パターンとの関連について
間壁 治子百田 裕子河合 伸子
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1988 年 29 巻 8 号 p. 322-332

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抄録

着心地の良い衣服設計のために, 上肢帯部の動きに必要なゆとりの配分部位とその分量の目安を求めて実験を行った.
まず, 上肢の動作特性をとらえ, それらの結果をふまえて, ゆとり量とその配分状態を変化させた実験衣をポリエステルシャーで11種類作成した.これらを試着テストして, 可動範囲と動作に伴う人体と衣服とのずれや追従性を求めた.
その結果, 上肢挙上に伴う部位の変化は三角筋起始部よりの変化としてとらえられ, 肩先の上昇と収縮, 腋窩部の上昇と前方への移動, 前後腋窩幅の伸縮, 体側部の伸展がみとめられた.このことより, パターンでは肩線と袖ぐり線の設定が重要であるといえる.ゆとり量とその配分状態を変化させた実験衣では, 同率ゆとり量の場合は肩上がりがあるもの, 脇丈が長いものが, 又, 普通袖とセミ・ラグラン・スリーブではセミ・ラグラン・スリーブで肩部にゆとりがあるものの方が上肢の可動範囲が大きく, 追従性がよいことが判明した.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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