繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
Print ISSN : 0037-2072
ISSN-L : 0037-2072
知覚された“ファッション・ベネフィット”と“ファッション・リスク”との心理的取引に関する研究
神山 進高木 修
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 31 巻 10 号 p. 488-496

詳細
抄録
人々の主観に基づく危険性の評価のことをリスク知覚と呼び, また主観に基づく利益・恩恵の評価のことをベネフィット知覚と呼ぶ.本研究では, 特に流行に敏感な商品の購入時に知覚されるベネフィットやリスク (すなわち‘知覚されたファッション・ベネフィット’や‘知覚されたファッション・リスク’) について, それらの内容や両者の関連性などが, 衣服の購入事態を通して検討された.得られた結果は, 次のごとくであった.
1) 購入衣服に対して消費者が期待する利益・恩恵の中で, 特に顕著なものは, 値段が手頃・似合っている・他の服と組合せやすい・着こなしやすい, などであった.2) ‘知覚されたファッション・ベネフィット’は, 「品質・性能期待」, 「流行性・他者承認期待」, 「似合い・着こなし期待」, 「自己の顕示・解放期待」から構成された.3) ‘知覚されたファッション・リスク’は, 「品質・性能懸念」, 「服装規範からの逸脱懸念」, 「流行性懸念」, 「自己顕示懸念」, 「似合い・着こなし懸念」から構成された.4) ‘知覚されたファッション・ベネフィット’と‘知覚されたファッション・リスク’との間には, 正の関連性が認められた.しかしベネフィットとリスクのそれぞれの成分の間には, 相互に効果を打ち消し合うように作用するものもあった.特に, 「服装規範からの逸脱懸念」と「自己の顕示・解放期待」との間の負の関係は顕著であった.5) ‘知覚されたファッション・ベネフィット’と‘知覚されたファッション・リスク’との間の心理的取引の様式に基づいて, 被調査者が4群に分割された.すなわち「自己顕示型」, 「精力消費型」, 「機能尊重型」, 「規範固執型」, である.6) 以上4つの被調査者群のそれぞれを, 性別と社会心理学的特性によって特徴づけることが出来た.
著者関連情報
© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
前の記事
feedback
Top