繊維製品消費科学
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自意識が身体像の評価に及ぼす影響 (第2報)
枡田 庸牛田 聡子柴田 利男
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1993 年 34 巻 12 号 p. 668-677

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抄録

本研究は, 自己および異性の身体特性に対する意識と自己の身体に対する満足度について, さらにこれらの身体意識と自意識の関係について, 男子大学生を対象に検討したものである.主な結果は次のように要約できる.
1) 自己の身体特性に対する意識は, 全身の見えに関する項目を除いて一般に低い.異性の身体特性に対する意識も, 類似した傾向を示すが, 自己の身体意識に比べると一般に高い意識を示した.特にウエストの太さ, バストのふくらみに対して高い意識が持たれ, これらの項目が異性の身体的魅力を決定する際, 重要視されることがわかった.
2) 自己と異性に対する両意識間の相関を求めた結果, 自己の顔の見えに関する意識を除いて, 両者に正の関係がみられた.
3) 自己の身体特性について, 公的自意識高群は, 50項目中20項目で高い値を示しており, 他者に関心が向きやすい人は自己の身体特性に対しても高い意識を持つことがわかった.異性の身体特性についても, 公的自意識高群は, 47項目で高い値を示しており, 異性の身体特性をより意識している.
4) 自己の身体に対する満足度は, ほぼ尺度中央値に近い値を示しており, 満足でも不満でもない.自己の身体意識と満足度の関係は, 一般に意識しているほど不満足度も高いが, スタイルや全身の見えに関しては, 意識しているほど満足度が高いという関係も見られ, 身体特性の側面によって異なっていた.
5) 身体の満足度と自意識の関係について, 公的自意識高群は低群に比べて不満足とする項目は, 自己の身体意識において, 低群より意識の高かった項目とほぼ一致する.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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