繊維製品消費科学
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絹と合繊和服地の歩行時帯電性について
(第2報) ―人体着用実験による摩擦帯電性の検討―
高月 智志子田村 照子
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1993 年 34 巻 9 号 p. 466-473

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抄録

前報では, 和服の帯電性に及ぼす要因が, 新しく試作した歩行モデル装置を用いて検討された.これに続き, 本報では, 気温20℃, 30%RH, 気流0.2m/s以下の条件下における同様の着用実験が, 10名の健康な女子を対象として行われた.対象とした和服素材は, 絹, 未加工ポリエステル, 加工ポリエステルである.
未加工ポリエステルの着物は, 対象中最高の帯電電位 (6.0kV) を示し, 一方, 加工ポリエステルは最低 (1.0kV以下) を, 絹はその中間の値を示した.結果は, 前報の装置実験の結果と高い相関を示したが, 着用実験における絹の帯電電位は装置実験の結果に比べて低下がみられた.その理由としては, 絹の吸湿性が非吸湿性のポリエステルより人体からの不感蒸散の吸収に有効に作用したためと考えられる.
人体の帯電電位は, 0~0.075kVを示し, 和服への帯電位に比して著しく小さく, これは, 人体の静電容量が着物より大きいためと考えられた.
107m歩行後の人体の帯電電位は, 着物の裾上10cmで測定された電位と高い負の相関 (r=-0.975) を示した.

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