1994 年 35 巻 5 号 p. 251-261
安全性と実際的使用の立場から染色布に対する耐洗濯性防炎加工と防炎加工染色布に対する紫外線照射の影響を観察することを目的とし, 染料母体が種々異なりハロゲン置換基を有し, 類似した官能基をもつ反応染料で染色した綿布に対して, 種々の助剤を用い8種類の加工条件下でピロバテックス加工した後カーボンアーク燈で24~48h紫外線を照射した.
その結果は次のようである.
防炎加工による変退色は染料構造の本質的な部位にはほとんど依存しない.すなわち同じ染料母体, 官能基をもつ染料が異なった耐加工性を示した.一方, 未加工布の場合と同様, 防炎加工染色布の耐光性は染料母体に大きく依存する.すなわち, アントラキノン系染料とビスアゾ系の数種の染料の耐光性は大きいのに対してモノアゾ系, フタロシアニン系のものは照射によりかなりの変退色を示した.この場合, 防炎加工は染料の種類と加工条件によって変退色の抑制および促進の両方の影響を与えた.
加工条件に関しては, リン酸の添加はほとんどの場合変退色を増大したが, 尿素と塩化アンモニウムは変退色に対する耐性を増加する傾向を与えた.