1995 年 36 巻 1 号 p. 82-89
下肢部への身体圧迫が安静時の人体部位の皮膚温変化にどのような生理反応をもたらしているか, サポータの局部圧迫と圧迫部位で衣服圧の異なるPS着用後の人体各部の皮膚温に及ぼす影響をサーモグラフにより熱画像解析した結果, (1) サポータ, PS各タイプ着用による下肢部への身体圧迫で, 上半身の特に手掌部皮膚温を上昇させる現象が, 熱画像からビジュアルに観察された. (2) 手掌部皮膚温の上昇は, 下肢部への身体圧迫で圧受容器が刺激されたことによる上肢部への圧反射現象を反映している.また, この現象は自律神経系の交感神経の緊張を低下させるものではないかと推測された. (3) 各タイプPS着用で, 手掌部の皮膚温変化の違いをサーモグラフィ解析から判別できなかったが, 得られた2次元温度情報の皮膚温が, PSの衣服圧設計のための快適着用感の評価に利用可能なことを示唆している.