繊維製品消費科学
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シリーズ「世界の民族と繊維」
4.奄美芭蕉布の聖と俗―伝承歌謡との関係から―
中原 ゆかり
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1996 年 37 巻 10 号 p. 507-515

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抄録
明治末頃までの奄美では, 礼装からのら着まで芭蕉布が使われていた.家族の着物は皆一家の主婦が織り, 芭蕉を刈り糸を取るところから布を織り衣を縫うところまで全て手仕事であった.芭蕉布は誰もが身にまとう親しみ深い聖なる布であると同時に, その呪力は恐れられ, シャーマン・ユタが神がかりトランス状態に陥る時の呪文の中にも芭蕉のことが歌いこまれている.奄美の人々が芭蕉布の呪力を信じてきた背景には, 芭蕉布を媒介とした奄美の人々の様々な思いと人間関係がある.
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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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